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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第12話:賑やかさの裏で
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しい事だが、今回の件はほぼ全面的に翼への対応を怠った奏の自業自得なので罪悪感とかで距離感を図りかねているのだろう。
──ど、どうしよう?──
──え、え〜?──
堪らず響に視線で助けを求めるが、助けを求められても響も困ってしまう。まぁこの件に関しては響に口出しできる余地はないので仕方がない。下手に部外者が突っ込んでも話を拗らせるだけだろう。
その事を響本人が理解できているかは別として。
暫し何を言うか悩んでいた奏だったが、このままでは埒が明かないと意を決して口を開いた。
「えっと、その…………悪い」
「……何が?」
「ほら、翼の事をなんて言うか…………蔑ろにして、さ。ゴメン。颯人が帰ってきて、ちょっと浮かれてたって言うか……」
「別に、気にすることないよ。ずっと探してた人だったんでしょ。ならしょうがないよ」
絞り出すようにして言葉を紡ぎだした奏に対して、翼の返答は一見するとここ最近の奏の行動を特に気にしていないように見えた。
だがその言葉はどこか感情を押し殺したように抑揚がなく、言い方も素っ気ない。
そして何より、抑揚のない言葉とは裏腹にその頬は膨れていた。目線に至っては明後日の方を向いて目を合わせもしない。
翼は完全にへそを曲げてしまっていた。
ちょっとやそっとでは機嫌を直してくれなさそうな翼の様子に、奏はどうしたものかと頭を抱えてしまった。
「そ、それでも、さ……やっぱり、翼の事をほったらかしにしてたことは事実な訳だし。その所為で、翼には寂しい思いをさせちゃったって言うか、嫌な思いさせて悪かったって思ってるんだ。だから…………ゴメン」
必死に自身の思いを纏めて翼に謝罪する奏だが、翼の表情は芳しくない。それは別に奏の謝罪に不満があると言う訳ではなく、その謝罪を素直に受け取れていない翼が自身に対して嫌悪しているからだった。
翼だって本当は、颯人の事を受け入れたい。
少し前までの奏は、何と言うか背伸びをしている感じがしていた。嘗ての翼はそれを頼もしく感じていたが、今になって思い返せばあれはふとした瞬間に気を抜けば崩れ落ちそうになる心を奮い立たせる為に『頼りになる天羽奏』を演じていただけなのだろう。
だが今は颯人がいる。颯人の安全が確実であることが確認できた今、奏に無理をする理由はない。つまり、今の奏は肩の力を抜いた自然な姿の奏なのである。
それを翼はこの数日で理解していた。奏が時折辛そうにしていたことを知っている翼はその事を純粋に良かったと思っていた。
だが、その思いに反して心は彼の存在を拒んでいる。
その相反する心の動きが翼を苛立たせ、奏への態度も素っ気なくさせていた。
どんどん2人の間に漂う空気が冷えていくのを感じた
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