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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十一話 フラグは立てて回収するもの(時たま忘れる)
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道アルフレートも時間稼ぎぐらいにしか思っていないのだ。そうなれば術式もタダではない必要以上の力など与えるはずも無い。そして今、パシアスの目の前で首を断ち切られるアウグストゥスを見て呟く。

「残念ねアウグストゥス。彼から力を譲渡してもらっといて役目を果たしきれなかったんだから。まあ、後は私に任せればいいわ」

目の前で構え突き進もうとする蓮を見て微かに口元に笑みを浮かべながら着ているスカートをたなびかせる。

「どけよ。これ以上時間掛けるわけにはいかないんだ。退かないって言うなら今の奴みたいに斃して進むだけだぞ」

「もしかしなくてもアレと私が同じ程度の実力だと思っているの?そう思ってるなら貴方は私には勝てないわよ」

「どうでもいいんだよ。テメエの実力が如何とか他の奴らより強いとか関係無いんだよ。もう一度だけ言う。退け。どかないなら此処でアンタも斃していくぞ」

「どうぞご自由に。私を倒すのも突破するのも出来るというのならしても構わないわよ」

二戦連続だが蓮に余裕など無く泥沼に嵌った戦いを続けることになる。




******



―――学校―――

ヴァレリアとマキナを含んだ数人が屋上で戦っている最中、その様子を一人校庭の端で呆けるように眺めている人物が居た。櫻井螢である。彼女は自分の望みが叶わないと知っても、櫻井戒という人物を助けれないことを知っても諦め切れなかった。
手元で握った剣、緋々色金に力が籠もる。戒、カインを奪ったアルフレートが憎かった。これまでだましていた神父に腹が立った。黙っていた団員全員に対して怒りが込み上げた。自分の理想を突き進み続ける藤井蓮が妬ましかった。そして、そんな風に見ているだけで結果を残せていない自分自身に憎悪した。
腰に差してある軍刀であり、聖剣でもあるベアトリスの剣を見ながら何も出来ない自分の今の状況に耐え切れず涙を流しながら呟く。

「助けてよ……兄さん、ベアトリス……」

「誰かと思えば貴様か、小娘」

突然上から声を掛けられ見上げる螢。

「ザ、ザミエル卿……」

「フン、コソコソと蟲のように何をしているのかと思ったがまあいい。貴様の腰に差しているその剣、何故、貴様がそれを持っている?」

そう問いかけられるのは当然。だがその言葉には怒りに満ちていた。ベアトリスはザミエルの部下であり、死ぬというのならせめて自分の手で介錯をしてやりたいと思っていたほどだ。その彼女が持っていた聖遺物を何も知らないであろう小娘ごときが持っているだけでなく、あろうことか腰に差しているのだ。唯持っているだけならばザミエルも気分を害することは無かっただろう。だが、腰に差すということはすなわちその剣は自分の物なのだという証明に他ならない。
名誉アーリア人ですら
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