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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
第二十一話 フラグは立てて回収するもの(時たま忘れる)
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大きいのだ。やってみて無理ならそのときにでも逃げればいいだけの話だった。

「やったか、とでも言って負けフラグでも確立させとく?」

「いや、やる必要ねえだろ。どっちにしろ今ので決着がつくなら前の時に斃してるっての」

司狼の発言どおり、吹き飛ばされ倒れていたヴィルヘルムは傷一つ無くあっさりと立ち上がる。

「んだよテメエ等、不意を突いてこの程度かよ。期待はずれもいいとこだなァ」

「そんな勝手に期待されてもね」

「まあ、それでもぶっ飛ばされるってことは効いてないわけじゃねえだろ。だったら何とかなるさ」

そういって再び銃を構えて撃ち出す二人とそれを薙ぎ払うヴィルヘルム。どうやら彼らの戦いはまだまだ続くのだろう。



******



―――教会―――

加速した―――正確には時間を引き延ばした―――蓮と集中して自己の能力を限界値まで高めたアウグストゥスが戦っている最中、一人の女性がその光景を眺めていた。その女性とはパシアスだ。ルサルカの血肉、魂、聖遺物の残滓を喰べた分体の一人。
彼女が戦いに介入しない理由は一対一の決闘に無粋だといったものではなく、ただ単に面倒なだけだ。彼女にとっての優先順位はアルフレートが一番であり、彼からの命であるテレジアの守護を全うしているだけの話なのだ。アウグストゥスが勝てばそれで良し。たとえ藤井蓮が勝利しようとも消耗した敵を相手に務めを果たせないほど今の彼女は弱くは無い。その上、今更(・・)彼が勝っても何一つ問題は無かった。

「グッ、まだだ!お前をここで仕留めてみせる!!」

「ウオォォッ―――!!」

既に血まみれのアウグストゥスと疲労の色を隠しきれて居ない蓮。どちらが不利かと問われれば、当然アウグストゥスと答えるがこの戦いは局面的なものとしては全くと言っていいほど不毛だ。意味は無いという訳ではないだろうが同時に意味のある戦いでもない。此処のスワスチカが開いている以上こちら側に此処で戦う意味は無い、一方で向こう側もテレジアを救うために教会に仕掛けて来たのはいいが、無理に斃さず突破できるように作戦を立てたほうがまだ現実的だろうし、仮に斃しても次はパシアス自身が待ち受けている。

「まあ、不毛な決闘というべきなんでしょうね。そもそもアウグストゥスが彼の力を好き勝手してるのが気に入らないのよ」

現状で彼らは互角とまでは言わずとも同じ土俵で戦えている。それは何故か?普通に考えれば良くて平団員と対等程度のアウグストゥスに蓮と対等に戦える道理はない。だがそれを可能にする術式をアルフレートは当然のように保持していた。

「でももう無理ね。あそこまで死に体じゃもう何も出来ないわよね」

必死に倒れるのを抑えるも既にアウグストゥスに戦い続ける余力は無い。どの
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