第五章 仲間
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魔道着を肌に馴染ませるため、くいくいと小さく腰を捻り、そして右、左と拳を突き出した。
腰の剣を取り、両手に持って振りかぶると、
「魔法使いアサキ!」
振り下ろしたその姿勢で、名乗りを上げた。
「おーー、様になってきたじゃんかよ」
先に変身を済ませている、青い魔道着姿のカズミが、ちょっとからかうような口調でばちばち手を叩いた。
「ん?」
笑み浮かべ、首を傾げているアサキ。
「なんだよ、気持ち悪い顔して。なにが『ん?』だよ?」
「王様に、なってきた?」
笑顔が変化して、眉を寄せて真剣に考え込んでいる表情になった……ところへバシーーッとモンゴリアンチョップが炸裂した。
「あいたーーーっ!」
モンゴリアンチョップ、いわゆるプロレス技である。
両手で、斜めから挟み込むように、手刀を叩き下ろす技だ。
技の発明者はキラー・カーン、本名は小沢正志、もちろん日本人、新潟出身のプロレスラーである。
キラー・カズミは、うおおおおと吠えると、さらに殴り掛かる。
「そういう、今どき誰も笑わないような、古いボケはいらねえんだよ! お腹がスイカ的なギャグは! 昭和三十年代の小学生かあああああああ!」
べひべひべひべひ、魔道着によりパワーアップした燃える炎の輝くビンタで、アサキの右の頬、左の頬、右、左、べひべひべひべひ。
情けもなければ容赦もない。
カズミの手のひらが残像を描きながら、唸る唸る、炎に燃える。
「痛い痛い痛い痛い! なんで殴られてるのか意味が分からないよおおおお!」
「うるせえ、まだまだ殴り足りねーーーーっ! だけど戦いの前だから、これくらいで許してやる」
無益な争いの後に残るは、すっかり赤く腫れ上がったアサキのみっともない顔。
「うええええん。こんな殴られて、これくらいもなにもないよおお」
「よおし、それじゃあこれで全員変身完了だな」
カズミは幼児のように泣き喚くアサキを完全無視で、リストフォンに表示されているヴァイスタの位置を改めてチェックした。
チェックしていくうち、段々と目が点に……
「九、十……十二匹かよ! はあああああ? 多過ぎだろ! やっぱりヴァイスタが魔法使いの成れの果てなんて嘘だよ、足りねえもん。……さて、こんな量が相手じゃあ……どうする? また分散させて戦うか?」
ちらり、と治奈の顔を見る。
「いや、ここはむしろ、まとめてしまうのが得策じゃろ。あの辺り狭いところがあるけえね、上手く生かして戦えば、各個撃破といわんまでも、取り囲まれんで済むからの」
「了解だ! そうと決まったら、いくぜえええっ!」
カズミは、大声を張り上げ
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