第五章 仲間
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けど、なら、どうすればいいのか。
打つ手がない。
でも、
でも……
「こんなところで、やられてたまるかああああ!」
自暴自棄になるつもりはない。
だけど、まず自分の気持ちに勝たなければ始まらない。
そう思い、雄叫びを張り上げ、剣を振り上げた。
と、その時である。
カッ、
と、どこから生じたのか眩い閃光に、周囲が真っ白になった。
「なっ、なに?」
アサキが眩しさに目を細め、手を額にかざした瞬間、その眩いモノの正体であろうか、なにかが目の前を横切っていた。
眩しくてなにも見えないが、まるで天馬が空を疾走しているかのような感覚を、アサキは抱いていた。
二体のヴァイスタの間を、その光が、天馬が、通り過ぎる。
光の密度に胸を強く弾いたか、二体とも、後ろに倒れそうになり、身体をよろけさせている。
なんだったんだ、と思うよりも早く、アサキはその隙を突いて、ヴァイスタによる包囲網を突破していた。
といっても、きた方へ戻る道しか空いておらず、カズミたちへ合流するには反対方向。
だが、このまま殺されるよりはマシだ。
疲労の中を、走り出す。
謎の光が通り過ぎて消えた方へと、迷わず。
別にその光を追おうとしているわけでない。
こちらしか逃げる方向がないだけだ。
少し道を進んだところで、なにか拳大の小さな物が、道路の真ん中に落ちているのに気が付いた。
銀色のプラスチックで覆われた、機械のようだ。
「なんだろう?」
ひょっとして、さっきの光の主が落とした?
拾い上げてみると、テプラーが貼ってあり、なんだか小学生女子が書いたかのような丸い字で「ファームアッパー」と書いてある。
ファーム、アップ?
え、これっ、もしかしたら……
リストフォン大好きな現代の女子中高生なら誰でも知っている、あのファームアッパーのことか?
通信回線を使わず、接触させるだけでバージョンアップが出来る機械らしいが、そもそも通信をするのがリストフォンなので必要性をまったく感じず、一度も使ったことがない。
それが何故、こんなところに落ちているのだろうか。
と考え込んでいるところ、背後に重たい足音を聞いて、びくりと肩をすくませ、振り返るともういちど肩をすくませた。
二体のヴァイスタが、こちらへと追ってきているのだ。
逃げ出すアサキであったが、立ち止まり、振り向いた。
「一か八かだあ!」
叫ぶと、右手に握られているファームアッパーと思われる機器の、側面にあるスイッチを押した。
ピー、と電子音。
左腕のリストフォンと接触させた。
真っ白な閃光が生じたかと思うと、魔道着
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