第五章 仲間
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十体ほどのヴァイスタと、
分散させられ、地の利も占められ、なんとか頑張っている治奈、カズミ、正香、成葉の四人。
ヴァイスタへの攻撃は致命傷でなければなんの意味もないというのに、相手の方こそが地形を生かし、なおかつ連係で庇い合っており、治奈たちはまともな攻撃をさせて貰えない状況だ。
地形云々というだけではなく、この連係に見られるようにヴァイスタ自身もまた強くなっている気がする。
アサキは焦れた表情で、拳をぎゅっと握った。
「みんなのフォローをしないと」
自分ごときに大局を左右する力はないし、それどころか足手まといになることも多いけど……
でも、そんなことはいっていられない。
やれること、出来ることを、やらないと。
ある程度、左腕も治癒したし。
とん、と飛び降り平地に降り立ったアサキは、ぐにゃぐにゃねじくれている、色調が反転して真っ白なアスファルト道路を走り出した。
角を折れると、先ほど高いところから場所を確認した通り、真っ直ぐ伸びている通りの向こうに、ヴァイスタと戦っているカズミの姿が見えた。
「カズミちゃん!」
速度落とすことなく腕を振り走り続けながら、大きな声で名を叫んだ。
「おう、アサキか!」
激しい戦いの最中、余裕の笑みを浮かべようとするカズミであったが、次の瞬間、彼女の顔から笑みは失われ、次にその口から出たのは、
「あぶねえ、よけろっ!」
絶叫にも似た大きな声。
その声と、ほとんど同時であった。
アサキの横から、ぶうんと唸る音がしてなにかが振り下ろされたのは。
ヴァイスタの、長い触手状の腕であった。
「うわ!」
間一髪、アサキは飛び退いてかわしていた。
とん、と着地すると、身構えヴァイスタを睨み付ける。
睨みながらも、胸の中ではほっと安堵のため息を吐いていた。
危なかった。
油断をしていたわけではないのだけど。
カズミちゃんが教えてくれなかったら、どうなっていたか。
しっかり礼をいいたいところだが、そういう状況ではなくなっていた。ではないどころか、かなり深刻な状況へと追い込まれていた。
狭い道を、二体のヴァイスタに前後から挟まれていたのである。
一体の腕が、再びムチのごとくしなって、アサキを襲った。
アサキは咄嗟に、腰から抜いた剣のひらで受けていた。
がつっ、と重たい衝撃が剣を通して腕を、全身を走る。
その凄まじい衝撃に、アサキの足元の地面に亀裂が走っていた。
彼女らがよく「にょろにょろ」と呼んでいる、触手に似たヴァイスタの長い腕。あまりに長いため目立たないが、実は丸太のように
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