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魔法使い×あさき☆彡
第五章 仲間
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皮膚が、ざっくりえぐられており、どろりと血が垂れた。

 ヴァイスタの、腕の先端にある無数の牙に、腕の肉を食いちぎられたのである。

 腕を一本、持っていかれてもおかしくなかった。
 無意識に避けはしたものの、完全にはかわし切れなかったのだ。

 また、二本の触手が、大蛇となりアサキを襲う。

 剣を両手に持ったアサキは、下から跳ね上げた。
 そのままヴァイスタの脇を駆け抜けて、女の子の首を締めている太く真っ白な腕に、

「やあああ!」

 大きな声で叫びながら、剣を振り下ろした。
 早く助けないと、という焦りのため、またも魔力を込め切ることが出来ず、両断することは出来なかった。
 だが、締めつける力が緩んで、その隙に女の子の腕を掴んで引っ張り出すことが出来た。

 女の子は、青ざめた顔のまま、げほごほとむせている。

「もう、大丈夫だからね」

 アサキは女の子に、柔らかな笑顔を見せた。
 本当は怖いけど、ちょっと無理をして。
 腕の怪我、泣きたいほど痛いけど、ちょっと無理をして。

「アサキチ、やるじゃねえか!」

 狭い道路、ヴァイスタを挟んだ反対側で、カズミがガッツポーズを取った。
 弟子の成長が嬉しい、とそんな顔である。
 本人に聞いても、そうとは認めないだろうが。

「アサキちゃん! そいつとはうちらが戦うけえ、女の子を現界へ戻してあげてくれる? 記憶の消し方は、分かる?」

 治奈の叫び声に、アサキは頷いた。

「前に、教えて貰ったから!」
「怪我、治してからきてな」
「分かった! ……それじゃ、行くよ」

 アサキは右手で、女の子の左手をしっかり握りながら、左腕を立ててカーテンを開くように横へ動かした。

 一歩前へと足を出すと、そこにはよく知った住宅街があった。

 歪んでおらず、色も普段通り。
 青い空に、
 輝く太陽、
 爽やかな風。

 現界である。

 アサキは、太陽の眩しさに目を細めた。

「あれ?」

 女の子が怯えと疑念の混じった表情で、きょろきょろ周囲を見回している。

 そうもなるだろう。
 ほんの数十秒前には、万物おぞましく歪んだ瘴気漂う世界で、顔のない巨人に首を潰されかけていたのだから。

 アサキも、素早く首を動かして周囲を確認した。
 魔道着姿のままなので、誰かに見られることのないように。

 誰もいないことを確認すると、アサキは女の子に微笑み掛けながら頭の上に軽く手を乗せた。

 その笑みは、少し寂しげだった。

「ごめんね」

 アサキは謝った。
 これから、この女の子の記憶を消すことに対して。

 ヴァイスタに引き込まれ襲われた、この数分間の記憶を消すだけ。
 でも
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