第五章 仲間
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、先輩たちの戦闘力の高さに、口を半開きの間抜けな表情になってしまっていたが、すぐに首を横に振って、
「ででっ、でもっ、わたしだって一体倒したんだからあ!」
と強がってみた。
初めて一人で、ヴァイスタを倒して昇天までさせたのだ。
少しくらい威張ってもいいだろう。
というか、みんなはもともと強いんだ。わたしの倒したこの一体をこそ、褒めてくれてもいいじゃないかあ。
「うん、お前も偉い偉い。よくやったよ」アサキの胸の声が聞こえたのか、カズミがぽんぽんと頭を優しく叩いた、「でもハナキヤのケーキは忘れるなよ」
アサキが、がくーっと大げさに項垂れると、周りから笑いが漏れた。
五人は集まり、輪になると、お互いの顔を確認し合った。
「みなさん、お怪我はないですか?」
正香の問いに、全員こくりと頷いた。
「わたしは少しも戦ってないようなもんですからあ」
自虐に走るアサキ。
「まあまあ。アサキちゃんかなりよくなった。自信持ってええよ」
治奈が、背中を軽く叩いた。
「ファームアップしても、あんなもんでしたけどお」
ぶすーっとした顔のアサキ、の背中を、また治奈が慰めるように叩いた。
「……ほじゃけど、そのファームアッパーの件とか、アサキちゃんが誰に助けられたのか、気になるのう」
「須黒先生たちに調べて頂いて、すぐ分かればいいですけど」
「そんな出回っているモノじゃないけえね、すぐ分かるじゃろ」
「うおっし。そんじゃあ、こんな気持ち悪いところ、とっとと出ちまおうぜっ!」
カズミが、ぶんと右腕を突き上げた。
五人は、輪を解いて横並びで歩き出した。
青い空の下。
人々の、ざわめきの中を。
五人は、歩いていた。
学校の制服姿で。
異空から出たのである。
色調、喧騒の戻った、自動車行き交う大きな道路を、五人は歩く。
「たくさん動いたから腹減ったなあ。それじゃみなの衆、さっそく柏に食いに行くかあ!」
カズミが、車の騒音に負けないような声で叫んだ。
「柏に行くんなら、まず先に駅前に出来た雑貨店がいいなあ。決定っ!」
成葉が、飛び跳ねながら右腕を振り上げた。
「キミたち切り替え早あっ!」
治奈が、いまにも戻しそうな血色の悪い顔で、正反対になんだか元気満々なカズミと成葉を見ている。
アサキが笑いながら、治奈の背中をさすってやる。気持ち分かるよお、などといいながら。
気持ち悪くなって当然だよ。
アサキは思う。
だって、あんな腐ったようなにおいの中で、あんな怪物と戦っていたのだから。
その腐臭瘴気とは打って変わって綺麗な空気を吸いながら、アサキは
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