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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 アウグストゥスの日記
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1934年12月3日
入隊祝いと言われて上官であるアルフレート・ナウヨックスに白紙の冊子と年代モノの万年筆を渡された。こんなご時勢に白紙の紙というのもそこそこ高いのでもったいないと思うが、一応は自分の上官からの貰い物なのでこれを機に日記でも始めようかと思う。何処かの金髪馬鹿の女性騎士とは違うので三日坊主になることは無いだろう。問題は中身が無い日々が続きそうだということくらいか。



1935年10月28日
ナウヨックス殿のハイドリヒ卿の秘書も板についてきたようで部下の自分としては事務仕事も減り大助かりである。ただ、最近ルドルフ・フォルミスという人物の暗殺を行ったらしい。元々そういった汚れ仕事を請け負う所もあったが自分の上官がそういうことを行っているというのは余り気分が良くない。今夜は酒でも飲みにいくとしよう。



1937年9月10日
しばらくいなくなっていた上官のナウヨックス殿が昇進して戻ってきた。直属の部下の一人である自分の給料も必然的に上がるので喜ばしいことだろう。聞けばソ連に行っていたらしい。この時期にソ連と聞いて思い浮かんだのはそれなりに噂になっていたミハイル・トハチェフスキー元帥粛清事件だった。深入りしようとは思わないが、上官が関わっているなら止めるにしろ、手伝うにしろ何とかすべきだと思う。



1938年12月29日
上官殿が旧知の親友と会ったらしい。自分も顔を合わせたが何処と無く胡散臭い感じがした。政治家とは皆こうなのだろうか。だとしたら余り関わりあいたくないものだ。



1939年9月2日
戦争が始まった。結局俺は上官を信じて傍で付き従って手伝うことにした。部署換えするなら最後だよ、と言われたが彼についていくと決めた以上、今更所属を変えることも無いだろう。願わくは祖国の勝利を願って。



1944年11月26日
ナウヨックス殿が敵に殺されたか捕虜になったらしい。戦場で共にしていたわけではないので詳細は不明だ。とりあえずはハイドリヒ卿の指揮下に入ることになるがこの先どうすればいいのだろうか。正直な話不安しかない。



1945年4月16日
ベルリンの陥落も時間の問題だろう。日記を書く暇など本来ならないのだろうが、どうせ最後になるのだろうからかけることは書いておくことにする。まず結論から言えばこの戦争は負けだろう。いや、実際そんなことは如何でもいいのだ。俺は彼がいなくなってから何も出来ない人間に成り下がってしまった。今更ながらに自分はナウヨックス殿に常々助けてもらっていたのだろう。来世という概念をキリスト教徒である俺は信じていないが、もしあるのならば再び彼に仕えて生きたいものだ。



(血で書かれた文字)
どうやら銃で
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