その38
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思う。
身近で見知ったナルトの内面は、あまりにも両親であるあの二人に、要らない所がそっくりすぎる。
環境的に致し方ない部分を差し引いてもだ。
故に。
「正直、オレは、ナルトの今後が不安でね…」
カカシが傍に居てやれるうちはいい。
だが、ナルトは女の人柱力という危険な立場に置かれざるを得ない身の上で、カカシには、里の上忍という立場がある。
そこを超えて、カカシはナルトに手を貸せない。
そうして、カカシにできないそれを求めるには、目の前のサスケも若すぎて未熟過ぎるし、望めない。
望むわけにはいかないだろう。
サスケにも、サスケの人生がある。
なのに、何故、今、カカシはサスケにこんな話をしているのか。
「すまない。忘れてくれ。今、お前にこんな話をするつもりでは…」
「いや。構わない」
我に返って自嘲しながら眉間を抑えたカカシの声を遮り、やけにきっぱりとサスケが断言した。
思わず顔を上げる。
「前にも話したが、ナルトはうちはの人間にする。あんたがナルトを心配する必要はない。あいつの事はオレが全て責任を持つ」
まっすぐにカカシを見つめて、堂々と繰り返し宣言された内容に、ちょっぴり反感と苛立ちが浮かぶものの、それでも内心、かなりほっとして、安堵してしまったことを認めない訳にはいかなかった。
サスケもまだまだ尻の青いお子様だというのに。
それでも、ナルトがかなり深く心を許して懐いているサスケが、ナルトの傍で、ナルトを見ていると心に決めてくれたのなら、カカシとしても非常に安心だ。
面白くない気持ちもあるにはあるが、サスケ以外の誰かを思い浮かべるだけで、サスケ以上に面白くない気持ちと反感が、サスケの比ではないくらいに湧いて来てしまうのだから。
それに、ナルトがいつ、どこで、どんなうっかりで何をやらかすかは全く分からないが、サスケのその宣言で、複雑な立場に立つナルトがやらかした時、徹底的に孤立することだけはないと知れたのは収穫だった。
他でもない、意地っ張りでプライドの高いサスケがそう言うのだ。
ナルト自身の気持ちはさておき、サスケの方は本気なのだろう。
サスケ自身も、相当複雑な立場に立ってはいるのだけれども。
「そう…」
サスケの決意を秘めた強い眼差しに、カカシは言葉少なく相槌を打つ。
そう言ったサスケの気持ちを疑う訳ではない。
そういう訳ではないのだが。
けれど。
「…イタチの件は、もう、良いのか?」
そこは、きちんと問い質しておかねばならない所だ。
目に見えてサスケの視線が、強く、表情もきつくなる。
カカシも、うちはの件は何も思わない訳じゃない。
気付いていない訳でもない。
それでも、里が平穏にある為には、見てはならないものがあるのも、考えてはいけない物があるのも、気付いてしまってはいけないものがあるの
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