その38
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番で、ありえないミスをしょっちゅう連発するような人でもあったんだ」
カカシが漏らし始めた内容に、サスケの気配が怪訝そうになる。
「戦争中、先生の班に降された、起爆札が重要なカギになる任務で、緻密で綿密で完璧な作戦と下準備を完全に済ませて、いざ実行しようと現場に到着したその段階で、肝心のその起爆札を、自分達が一枚も持って来ていなかった事に、その場で漸く気が付くような…」
遠い目のまま、ぽろりとカカシの語った、かつて実際にミナトがやらかした事の内容に、サスケが眉を顰めて、何とも言えない微妙な表情になった。
そういった事に、自分にも身に覚えがあると言わんばかりの。
今のサスケのその気持ちを、カカシは誰より理解していると確信があった。
それでも何となく後ろめたくて、そっとサスケから視線を外しつつ、ミナトのフォローの言葉を挟む。
「勿論、そういう失態を、その場で即興でフォローして、元々立てられていた計画以上の最良の結果を叩き出すような強運と実力を備えていた人だったから、里から四代目火影に選ばれて、火影の座に就任されていたのだけど」
カカシ自身、ミナトの傍で良く感じて素で突っ込んでいた、あの何とも言えない脱力感を、最近、久方ぶりにたっぷりと味合わされた。
他でもない、ミナトの娘のナルト自身に。
あれだけ率先して自発的に文句なしに感知タイプに相応しい働きを自らこなしていながら、まさか、長年、自分自身が感知タイプであると自覚していなかったとは、流石に思いもしていなかった。
サスケも思っていなかったに違いない。
あの時のサスケの悲鳴じみた激昂は、昔から暗部として二人の身近にいたカカシでも、先ず、聞いた事も無いものだった。
あれは、あのナルトの自分を知らないあの鈍感さは、紛れもなく父親のミナト譲りだ。
まず、間違いない。
ミナトほど、実力と内面の落差が激しく、自分を知らない自己評価の低い変な人を、カカシは知らない。
あの人自身はいつもどこでも何事も、心の底から真剣で、真面目以外の何物でもなかったからこその、不運で悲劇だったと言わざるを得ない。
いや、時折ミナトのやらかす結構な頻度の『うっかり』の数々を思えば、自己評価のその低さも致し方ないLvだったのだけど。
それに。
「そんなミナト先生を、常にフォローして傍で支えていた奥さんのクシナさんは、普段は明るくて朗らかなさっぱりした気性の優しい人だったんだけど、実は赤い血潮のハバネロという異名で恐れられた、鉄火気質の喧嘩っ早い人だったんだ。激昂すると、誰も逆らえないほど怒り狂って、彼女が納得するまで手が付けられなかった。二人とも、基本的にかなり単純で、人が良すぎる楽観的な人達でもあったんだけどね?」
カカシの独白に、こちらも心当たりがあるのだろう。
サスケの眉間に、更に皺が寄った。
カカシも
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