その38
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サスケに、かかしは頷いた。
「ああ。仲間を守る為にあっという間に誰よりも強くなる。それこそがうちは一族が天才と呼ばれ、図抜けた才を見せる本当の理由だったのかもしれない。オビトはね、リンの事を好いていて、だからこそ、誰よりもリンの事を守ろうとしていた。火影になろうとしていたのも、リンを守る為だったのかもしれない。リンの居る、オレ達の暮らす木の葉ごと、あいつは全てを守ろうとしてたのかもしれない。お前が、ナルトを守っているようにね。そういう所がそっくりだよ。何気なく失言して守りたい相手を怒らせたり、素直になれなくて、自分の言葉を全部飲み込んで、ただ黙って傍に居るような所もね。まあ、もっともオビトは気になる相手を罵倒したり、手を上げたりするようなことは絶対しなかったけど。お前のその乱暴さと口の悪さは誰に似たの」
昔から、機会があれば常々刺そうと思っていたカカシの釘に、むっすりとサスケが黙り込んだのが分かった。
むっと口を尖らせて、そっぽを向いて不貞腐れている。
だが、カカシにもサスケの気持ちは分かる。
ナルトは口で言い聞かせて、それで容易く止まるようなタマじゃない。
そういう所が不器用なサスケが苛立って、ついつい手が出てしまっても仕方ないだろう。
まだ、サスケの中でも、異性としてのナルトの扱い方が定まりきっていないせいもあるに違いない。
なんだかんだ、サスケとナルトの距離は、昔からとても近いのだから。
手を挙げられて、抗議しつつも、サスケに構われるのが嬉しいと言わんばかりに、嬉々としてサスケに懐いて纏い付いて行くナルトの笑顔を思い出す。
あれを思えば、カカシの忠告は、ただのおせっかいかもしれないが、改められるなら改めていた方がいいと思う。
サスケのナルトにかけている言葉は、誤りではないし、忍として生きるならば必要なことだ。
ただ、忍とはいえナルトは女の子だ。
こういう事が原因で、サスケがナルトに男として意識され無くなるのは、それは少し、可哀そうな気もしなくもない。
こういう事はカカシが口出しすべきことでもないのだろうが、それでもナルトを守りたいのはカカシもなのだ。
それに、サスケのいじらしい気持ちは昔から筒抜けだった。
ナルトを大切にしているようなのも、カカシはきちんと知っている。
そして、ナルトにもサスケにも、こういう事を諭す人間が欠けている事も。
柄ではないと、カカシ自身も思わなくもない。
しかし、暗部としての任によって、幼い頃から見守り続けてしまったせいか、良くナルトと行動を共にして、密かにナルトを里人の悪意からさりげなく遠ざけ、陰で守り続けてくれていたサスケにも、個人的な情は湧いてしまっている。
サスケはカカシがしたくてできない事を、ずっとナルトにし続けてくれていたのだから。
オビトと同じ、うちは一族の生き残りである
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