その38
[4/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ど。
状況は、カカシにも、サスケにも、それを許してはくれないらしい。
思わずカカシの手がサスケの頭に伸びた。
くしゃり、と、ナルト同様に掻き混ぜてやれば、即座にカカシの手を払い落として、顔を赤くして視線がきつくなる。
まだ幼くて、毛を逆立てた子猫のようにも思えるが、どんなに似ていたとしても、猫と虎は違う生き物だ。
だから、構いたくなる気持ちをそっと封じて、話すべきことを口に乗せた。
「それに、お前も知っての通り、この左眼は、かつてオレと同じスリーマンセル仲間だったうちはオビトが、オレにもう一人の仲間を守る為にオレに託してくれたうちは一族の写輪眼だからね。一族の人間でもないオレに託されたこのオビトの写輪眼について、うちは一族の長をしていたフガクさんには、当時から大分よくしてもらったし、随分親身に世話を焼いてもらっていたよ。お前が赤ん坊の頃、フガクさんにせがまれて、お前を抱かせてもらったこともある」
カカシの胸に、尽きせぬ後悔と、帰らぬ者への寂寥が過った。
「うちは一族ではないオレから、うちは一族の者であるオビトの写輪眼を回収するべきだとの声も、うちは一族内には少なからずあったに違いないのに、その声を抑えて、オビトが信じたオレを信じて、オレにオビトが遺したオビトの目を託し続けてくれていたんだ。それと同時に、フガクさんは、オビトが写輪眼を託したオレに、里とうちは一族を繋ぐ役割も託そうとされていたのだと思う。口に出してそれを言われた事はなかったが、そのように感じる事が多々あった」
その寂寥は、直ぐに自嘲にとって変わった。
「結局、オレには、オビトが託した願いも、フガクさんがオレに託してくれていた気持ちにも、応えて、叶えきる力はなかったが…。どちらも、オレには守り切ることができなかった…」
打ち沈んだ思いを鎮魂の願いに変えて、いつものようにカカシは慰霊碑に向き直った。
そうして、懺悔をするような面持ちになりながら、サスケに伝えようと思った己の過去の過ちの口火を切った。
カカシの失敗から、サスケが学んでくれる事を願って。
「オレの父親は白い牙と称されていた忍でね、仲間の命を守る為に掟を破り、中傷に耐え兼ねて自ら命を絶った。母親はオレを産んで既に死んでいて、オレの家は父一人、子一人だった。だから、里に一人きりで残されたオレには、常に好奇と嘲笑が纏い付いていた。そんな状況を見返すように、幼い頃から闇雲に修行に打ち込んで、オレは同期達より一足早く忍になった。エリート天才忍者なんて持て囃されていた事もあったよ」
かつての思い上がっていた己の幼さが、カカシは今でも許せない。
誰が許してくれても、自分が許す事が出来ないのだ。
そして、サスケを取り巻く評価は、そんなカカシによく似ている。
ナルトという、オビトにとってのリンのような存在がいる事だけが
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ