その38
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ねて告げれば、さすが代々続く忍の家の子。
表情が改まった。
だからこそ、普段は漏らさないカカシの本音も、少し、漏らした。
「こんなに早くお前がオレの手を離れる事になるとは思っていなかったからね。話さずに済むならそれに越したことはないし、傍にいるなら、話さずに教えてやれると思ってたんだけど。どうも、お前の成長はオレにそれを許しちゃくれないようだから」
じっとサスケの目を見て、サスケの姿を目に焼き付ける。
きつく前を見据える強い視線が、サスケの父、フガクによく似ていた。
顔貌こそ、イタチ同様母親似で、父親であるフガクの面影が余り無いが、サスケの気性はきっと父親譲りだ。
とはいえ、カカシはサスケの母のミコトの事は、ミナトのかつてのマンセル仲間で自来也を師と仰いだ兄弟弟子であリ、ミナトの妻であるクシナの親友という事ぐらいしか知らないが。
いつ顔を合わせても、楚々とした物腰でフガクに寄り添う、儚げで嫋やかな微笑みを浮かべる、明るく朗らかなクシナとはまるで逆の、とても物静かな女性だった。
フガクとの結婚を機に、忍を引退したらしいが、その上品な見た目にそぐわず、ミナトに先じて上忍に昇格するほどの実力者でもあったらしい。
サスケの兄のイタチはきっと、あの繊細そうな実力者の女性に似た分、サスケは父のフガクに似たのだろう。
そんな感慨がカカシに浮かび、漏らすつもりの無かった事を漏らしてしまっていた。
「こんな時、フガクさんだったら、お前にどんな言葉をかけるだろうと思ったら、オレにはこんな事しかなくてね」
その瞬間だった。
思わぬ事を聞いたとでも言いたげに、サスケの目が開かれた。
「あんた、父さんを知っているのか!?」
思わず詰問してしまったのだろう。
直ぐに思い当たったように、サスケの視線が、眼帯で覆われたカカシの左眼に向いた。
そうして、素直に悪いことを聞いたとばかりにそっぽを向いたサスケの可愛らしい気遣いに、思わず笑みが零れる。
サスケのこんな可愛らしさを知っている人間が、この里に一体どれ程いるのだろう。
その数少ない一人のうちが自分であるという自負が、思わずカカシの口を軽くする。
「そりゃ、知ってるでしょ。同じ里の忍だし、フガクさんは警務隊隊長で、うちは一族の長だったし」
「っ!オレが言いたいのはそういう事じゃない!」
普段、あれだけナルトに口を酸っぱくして忍たるべしと説いているはずのサスケも、カカシの前では年相応にまだまだだ。
こうして容易くカカシのからかいの口車に乗って、直ぐに感情を露にする。
かっと顔を赤らめて睨み付けてきたサスケの表情に、うちは一族のくせにやけに直情的だったオビトの面影が過る。
そんなサスケの好ましい幼さを、及ばずながら傍で少しだけでも見守れたらと、そんな願いがカカシの胸にも生まれ始めていたのだけ
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