その37
[8/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルカの話を聴いていたサスケが神妙な声で口を開いた。
「オレも、恐れが無い訳じゃない。でも、オレはうちはだ。だからこそオレに迷いは許されないし、逃げも許されないと思っている。けど、オレ個人としては、あんたの恐れも、迷いも。持って当たり前の当然の物だと、そう思う」
サスケのその声に、はっとしてサスケに視線を落とす。
心なしか気づかわし気にイルカを見上げていたサスケが、その途端、慌てたように顔を逸らした。
「そもそも!あんたは護る事から逃げてなんかいないだろ!あんたは木の葉の未来とかいう形の無い、護りようもなさそうな物を護ろうとしてるじゃねえか。そっちのほうがオレには護り方の見当もつかないし、挑戦しようとも思えねえな!」
ぷいっと顔を逸らしたまま、サスケはそんな事を口にした。
少し、血の気が良くなったように見えるサスケの顔をまじまじと見ていると、堪り兼ねたようにサスケがイルカを睨み付けてきた。
頬を赤く染めた顔で。
「大体、いい年をした大人が、こんな事でいちいちめそめそする方が情けない!あんたはオレ達の教師だろ!公私混同もほどほどにしとけ!あんた個人は情けなくて頼ろうとも思えないが、教師としてはあてにしている。ナルトとは逆だけどな!」
「そう、か」
サスケの言い分に大人しく頷いたその時だった。
「これからも、オレ達の師としてならオレもあんたを頼りにしてやる。だから、あまり自分を卑下するな!あんたを頼ったオレの方が情けなくなる!じゃあな、世話になった」
どこかむず痒そうな拗ねた表情で、サスケは一方的にイルカに告げて、アカデミー時代よりも更に磨きがかかった瞬身であっという間に姿を消した。
もう見えなくなったサスケの背中を追っていたイルカは、サスケから与えられた言葉の数々に、口元のにやつきを抑えられなくなってきた。
もう聞こえないと知りつつ、涙を拭って、サスケに向かってイルカは呟いた。
「ああ。俺なんかの力でも必要だというのなら、何時だって貸してやるし、お前たちの事を待っているよ」
呟きつつ、イルカは確かな予感めいた物を感じた。
きっとサスケはその名に恥じない忍になるだろう。
何せサスケは、三代目火影を務める猿飛ヒルゼンの父であリ、初代火影とうちはマダラの里造りに最初に賛同を示して大きく貢献した、猿飛一族の伝説的な忍の名を譲り受けた、木の葉の誇るうちは一族の末裔だ。
イルカの教え子の一人の。
確かに、サスケに師とまで呼ばれたイルカが、みっともなく情けない姿を晒していれば、そのサスケとしては気が気ではないだろう。
かつての、忍術を巧く発動させれなかったナルトに苛立っていた、幼いサスケの姿が蘇る。
うちはの悲劇を境に、思う事を全て素直に表現していた姿は鳴りを潜めたが、それでもずっと眉間に皺を寄せて、変わらぬ渋い表情を、涙目になりつ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ