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NARUTO 桃風伝小話集
その37
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て少し後ろめたかった。
何もしてやれていないのに、何かしてやれたような気になってしまう。
だから、もう一度丁寧にサスケの頭を撫でて、ほんの少しの本音と弱音を見せてしまった。
「お前は本当にすごいよ。先生は、そう思う。他でもない『うちはの生き残り』のお前にだから打ち明けるが、結局、先生は、『最初の喪失』を恐れて。『次の喪失』を恐れて。それで未だに、誰かと繋がる事を本当は心の底で躊躇って、迷って、恐れていて。だからこそ、お前達を教え、導き、諭す立場に逃げ込んでいるのかもしれないと思う時があるんだ」
真っ直ぐにイルカを見つめて来たサスケの眼差しに、弱くて卑怯なイルカを晒す。
きっと、サスケはイルカのこれも自分の糧にして、大きく成長してくれると思えたから。
そして、そんなサスケが傍に居れば、きっとナルトに心配は必要ないとそう思うから。
サスケからの、強く見透かすような視線から逃げる様に、いつの間にか到着して立ち止まっていた、火影邸の玄関口から覗く青空を見上げる。
「お前達と一緒に居れば、先生は一人じゃないし、先生も、お前達を独りにしなくて済むからな。先生には、何かを護る力も、戦う力も。どれも人並み程度にしかない。それでは、本当に自分の守りたいものは、決して守り切れないんだって。俺も、お前も。嫌と言うほど思い知らされちまってるからなあ」
空を見上げたイルカの小さな独白を、サスケはじっと黙って聞いてくれている。
だから、話を持ち掛けられた時から、本当に伝えたかったイルカの気持ちを、掛け値なしの称賛と共に贈った。
「なのに、もう一度他の誰かを護りたいと思えたお前を、俺は本当にすごいと思うし、護ろうとしているお前を心の底から誇らしく思う。お前がうちはだからじゃない。先生の教え子の、うちはサスケだからだ。でも、こうやってお前と話してみて気付いちまったが、先生にはまだ無理だなぁ。怖くて、挑戦しようとも思えないよ。年下のお前はそうやって歯を食い縛って頑張ってるのにな。だからこそ、余計に誰かを護ろうと思ったお前を凄いと思うし、護ろうとしているお前を誇らしく思うし、なんだか嬉しくてしょうがないんだ。ハハッ。おかしいよなあ。でも、泣きたくなっちまうくらい、お前がそういう風に誰かを思う事ができた事が、先生、嬉しくて嬉しくて仕方ないんだよ。良かったなあ、サスケ。ちゃんと、お前がそう思った気持ちを大事にしろよ?怖いからって投げ出して、護る事から逃げ出しちまったら、先生みたいな情けない奴になっちまうんだぞ?お前は、俺みたいになるんじゃないぞ?ちゃんと、護りたい物を守れる男になれよ?その為に必要なら、先生みたいな奴の力でよければ幾らでも貸してやるからさ」
サスケの肩に左手を乗せ、空を見上げながらぼろぼろと零れる涙を隠すように、イルカは右腕で目元を覆った。
じっと黙ってイ
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