その37
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るんだ!」
イルカが思わず窘めようとした時だった。
「だが。お前の話を聴いていると、ナルトがお前に懐く理由がオレにも分かる」
そう言って、ふっと今まで見た事もない程穏やかな笑みを小さく漏らしたサスケに、イルカは少し言葉を失った。
そんな安らいだ表情を見せたサスケの姿に、もう一つ、伝えておくべきことを思い立つ。
年齢を思えば気が早いとは思うのだが、相手は真面目で優秀で、同世代でも飛び抜けた才を持ち、その上短気でせっかちな方だったサスケの事だ。
早めに耳に入れて、じっくり考えさせる時間を与えるのは、決して悪い事ではない。
サスケは既に、うちはの復興を志してもいるし、護りたい相手なのだろうナルトにも家族はなく、その上、アカデミー時代からナルトはサスケの家に入り浸っているのだから。
猶更、きちんと考えさせた方が良い。
まだまだ幼く、二人は子供だと、イルカは思うけれど、二人とも、下忍就任を済ませ、年齢的にも子供とも言い切れなくなってきているのだから。
ナルトとサスケを良く知るイルカは、そう判断した。
「あと、もう一つ、先生が思いつくことがある」
「なんだ」
イルカのその言葉に、サスケは直ぐ様気を引き締めて、いつもの強気な視線でイルカを射抜く。
滅多に見る事が叶わないだろうサスケのあの穏やかな表情を、惜しむ気持ちが湧かないでもない。
だけど、サスケが今必要とし、求めているのは、きっとこういう事だろうと思うから。
「実は先生も実感はなくて、頭で考えてるだけなんだけどさ。護るべき者を得たのなら、そしたら、新しい家族になるかもしれないその人達に、サスケがどんな暮らしをさせて、どんな生活をさせたいのか。それをちゃんと考えて、実行して、きちんと実現させる力も必要だと先生は思う。それこそ、いわゆる男の仕事って奴なんだろうからさ」
「つまり、甲斐性か」
イルカの言葉を即座に端的に纏めた優等生なサスケの言葉に、イルカはしたり顔で腕を組んだ。
「そういう事だな」
アカデミーで教鞭を取っている時のように、首を縦に振る。
次の瞬間、サスケから与えられた笑み交じりのからかいの言葉に、イルカは思わず素でツッコミを入れた。
「確かにそれはあんたには足りないな。もっともだ」
「おおい、サスケえ!!」
「何となく、するべき事の何かが見えた気がする。流石は教師だ。あんたの言う事は解かり易くてしっくりくる。あんたを頼って正解だった」
しかし、再び滅多にお目にかかれない様な素直な表情でサスケから称賛され、イルカはむず痒い照れくささを味わった。
滅多に誰かに気を許そうとしないサスケだからこそ、こうして口にしてくれた言葉は本心の物だと分かる。
そうして、他でもないサスケにこんな風に認められるのは、教師としても、同じような思いを味わう者として誇らしく思え、そし
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