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NARUTO 桃風伝小話集
その37
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宿したうちは一族のサスケには、実感は遠いことかもしれない。
しかし、忍としてではなく、人間として考えた時。
その時こそ、サスケはきっとイルカの言葉を理解してくれるだろう。
そして、狙い通り、イルカの言葉に真剣に眉を寄せて深く考え込み始めたサスケに、小さく頬笑みを浮かべて、イルカはもう一度、同じ事を繰り返した。
「だから、誰かを護る事は、育む事だと先生は思うんだ」
そう言われて、イルカの事をじっと見ていたサスケが、ふいっと視線を逸らし、おもしろくなさそうにしながら更に問いかけてきた。
「…何を育む」
そのサスケからの問いに、今度はイルカの伝えたい事がきちんと伝わっていると感じ、イルカはサスケの肩に手を置いて、視線を合わせて断言した。
「気持ちだよ」
「気持ち…?」
サスケらしくもなく、戸惑いを前面に出した幼い表情に、肩に置いた手に力を込めてもう一度、詳しく解説する。
「お前が、護りたいとそう思った気持ちや、護ろうとしている相手の気持ちを、だよ」
じっと真っ直ぐに自分を見つめている幼いうちはの黒い瞳に、ついつい照れを感じて顔を上げてイルカは茶化す。
「先生はどうも、そういう事が下手くそらしくて。いつも気が利かないだの、朴念仁だの言われて直ぐにフラれちゃうから。だから、参考にはならないかもしれないけどな」
「いや。きっかけ程度には十分だ」
すでにいつもの強気な表情を取り戻し、考えに沈むサスケの横顔にイルカは苦笑した。
サスケの気持ちが何処にあるのかなど、言われずともイルカには分かっているし、だからこそサスケがこんな事を聞いてきたのも分かっている。
だからこそ、与えてやれる助言にイルカは気付いた。
「俺達は男だから、大切な物や大事な物は、ついつい自分の手の中に抱え込んで、傷つかないように全て護ってやりたいと思っちまうけど、多分、それだけじゃ、護る事には繋がらない。護りたいと思った相手が、自分の意思で俺達の手を頼って、俺達の手の中に留まってくれて、俺達に自分を守らせてくれるように、相手の気持ちを理解して、添ってやることも護るって事だと思うんだ。そうじゃないと、守りたい筈の相手が、守ろうとしてるはずの俺達に反発して、素直に自分を守らせてなんてくれないし、悪くすればそっぽ向かれて俺達を捨てて、別の所に逃げだされちまうからな。つまり、俺達男に必要なのは包容力、か?確かにそう考えれば、先生にはそれが足りないのかもしれない。俺は、ついつい何事も全力投球になっちまうからな」
サスケに対して助言をしていた筈だったのに、ついつい湧いた疑問を口に出して呟いた。
そしてイルカの前に居るのは、その隙を見逃すような、そんな甘い存在ではなかった。
「つまりイルカ。お前には、余裕が足りないという事だな」
「ぐっ、言うな!先生だって、ちょっとは気にしてい
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