その37
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顔を見せたサスケにヘッドロックをかけて、ぐしゃぐしゃと問答無用で掻き混ぜる。
「うわっ!?イルカ!この、何をする!!」
流石に臍を曲げてイルカの腕から抜け出し、むっと睨み付けてきたサスケの表情に、構い過ぎたかと反省する。
同時に、サスケの兄の、イタチの事に思いを馳せた。
イタチの身に何があって、なぜあんな凶行に踏み切ったのかは分からない。
けれど、イタチも、イルカと同じように、こうしてこんな風にサスケを可愛く思う気持ちが、サスケ一人を生かしたことに繋がっているのだろう。
イルカはそう思う。
だから。
「護るっていうのはな、つまり、育む事だと先生は思う」
「育む?」
気を取り直し、サスケの性格に合わせて無駄を省いて端的に伝えてやれば、サスケは怪訝な表情になった。
現実的で合理性を好むサスケにとっては、イルカの語る理想論とは相容れないだろう。
だが、サスケの求める物の答は、きっとそこにある。
だからイルカは、サスケが実感しやすいように、己の事を例に挙げる事にした。
「ああ、そうだ。そういう意味では、教師の仕事も護る事だと先生は思っている。木の葉に生まれた子供達が、健やかに自分の道を誤らずに歩いていけるようにな。その為の芽を、先生達は育んでいる。それは、木の葉の里の未来を護っていると自負していい事だと先生は思っているんだ。ちょっと青臭すぎて、自分でも照れくさいけどな」
むっと顰められたサスケの表情は、そういう事を聞きたい訳じゃないと語っている。
だが、こればかりはサスケ自身が自分で答えを出さねば、守りたい物を本当に護る事などきっとできない。
だから、不機嫌になりつつも、大人しく耳を傾け続けているサスケに、イルカはしっかりと自分の考えを伝えていった。
「そもそも何かを守るって事は、酷く難しい。敵を攻撃して襲ってきた奴を排除して、それで終わりって訳じゃないからな。守りたい物の形が損なわれないように、気を配らなきゃならないし。意思を持たない物や術の類なら、結解や封印術なんかで容易く手が届かないようにしてしまえば、一応は安全と言えるだろうが、正規の解除法を持つ奴に狙われてしまえば、それもあまり意味はない。それが人や動物なんかの、自分の意思を持つ物が対象だと、話はもっと複雑になる。保護の対象者にも、自分の意思が存在するし、その意思を無視してこちらの意思を通してしまえば、それはもう、護りたい者を害しているのと同じ事だと先生は思うしな」
護る事について、実はイルカは一家言ある。
もう二度と誰かが何かを失わないように、そのために何をすればいいのか。
失わないために何をすればいいのか。
その考えの果てに、イルカは結界忍術を会得し、今も研鑽を続けているのだから。
火遁という攻撃性に優れたチャクラ質と、幻術に優れた写輪眼を生まれながらに
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