第七話 自由
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敗北は許されない。
それを信条とする空と白でさえ、今のグシを相手に勝つ事は不可能ではないのかと、不穏な思考をよぎらせた。
?────が。
「それでも、『 』に敗北の二文字はないんだよ?────」
だが、それでも折れない。空は不敵に、笑った。
その笑みにグシは満足したのか、大きく頷いて。
「そうこねぇとな。そんじゃ、ゲームを用意する期間をくれ。一日で何とかする」
そう言い残して、どこかへ空間転移した。
残された『 』は、隠しようのない緊張に冷や汗を垂らしていた?────。
「……TPSでも負けたか。くっそ、強いな」
?────冷や汗をかいた事など、最早前世の記憶と言わんばかりだった。
どうやらTPSをしていたらしいが、それでも負けたらしいグシが悔しそうにこぼす。
だが、空はその勝利に喜ぶ様子もなく、問う。
「グシ……お前、なんで魔法を使わない?」
確かにバイナリのプログラム、それもこの世界では異質な『電力』に干渉するのは面倒だろう。そうでなくば、東部連合が森精種を破れるはずがない。
が、グシならその程度呼吸のようにやってのけるだろう。天翼種を超えるより、森精種に匹敵するより、それは簡単なことであるはずだ。
そう訝しむ空に、だがグシはきょとんとして。
「何でって……魔法はつまらんだろ、普通に考えて」
何を自明のことを、と言わんばかりの顔で言うグシ。
「魔法を使うのは、それを使ってもなお楽しめる次元のゲームをやる時だけだ。チート無双には、何の面白みも感じないだろ」
「……そういやそうだったな。チートは一貫して使わないっての、お前も同じだったな」
皮肉に笑うグシに、空は納得した。同時に、グシにクイーンが与えられた理由を察する。
?────強いから?否、彼は弱者として戦っている。
?────成長しないから?否、彼は日に日に強さを増している。
その答えは?────『誰よりも自由だから』だ。
人類に魔法は使えないと言われれば、その前提を崩し。
『 』に敗北の二文字はないと言われれば、幾度でもそれに挑み続け。
ここが限界だなどとほざかれれば、それを鼻で笑って超える。
その上、彼はチートを使わない。限界を超えた、その高みから見下ろすことをしないのだ。強者でありながら、弱者としてあり続けるほど自|
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