暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第11話:今はまだ早すぎる
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言葉を、真に受けてどうする。
 きっと今の『好き』と言う言葉も、こちらを混乱させる為に口にしただけで『LOVE』ではなく『LIKE』と言う意味での言葉に違いない。

「あぁ因みに『LIKE』じゃなくて『LOVE』の意味での話な。勘違いするなよ?」
「ッ!?!?」

 今度こそ奏の思考は停止した。

 いや、嬉しくない訳ではない。彼女にとっても彼は特別な存在だ。

 5年前はあの絶望的な状況下で必死に自分を励ましてくれたし、2年前は命を賭して助けてくれた。それ以外にも、思い返せば子供の頃から颯人は何度も奏を助けてくれていたし、逆に奏が颯人を助けたこともあった。

 それだけ濃密に接していながら、好意を持つなと言う方が難しい。奏とてそこまで鈍感ではない。彼と共に居る時間が心地いい事くらい彼女だって自覚している。

 それが『LIKE』と『LOVE』のどちらによるものかと問い掛けられたら、聞いてきた相手が颯人でなければ時間を掛けながらも『LOVE』によるものだと答えたであろう。

 愛は自覚している。問題なのは颯人がそれを何の前触れもなく唐突に口に出されたことであり、これに対してどう答えればいいのか分からず奏は顔を赤くしながら口を閉ざしてしまっていた。
 彼女にとってはなんやかんやで颯人が初恋の相手であり、遺跡での一件があってからの5年間はそう言った浮ついた話とは無縁だったのだ。

「んで、お前からの返答を聞きたいんだが?」
「――――えっ?」
「奏が俺の事をどう思ってるのか、是非聞かせてもらいたいなぁ、っと」

 だと言うのに颯人は、奏に返答を求めてきた。今度こそ奏は意識が飛ぶのではないかと言うくらい混乱した。この場合何と答えればいいのか? 

 普通に自分も好きだと答える? 否、ここでそんなあっさりと答えるのは流石に雰囲気もへったくれもない。勝ち気で男勝りな部分が目立つ奏だが、その心にはしっかりと乙女な部分を残しているのだ。

 あと何よりも、全て彼のペースで進められるというのが非常に癪だった。

 では逆に、好きではないと答える? 否、そんな心にもない事口にはできないし、口にしたところで彼には一発で嘘だと見抜かれるだろう。
 その場合更なる追撃が予想される。

 結局痛い目を見るのは自分だ、得策ではない。

 それならば、適当に誤魔化してこの場は有耶無耶にして別のところで改めて答えるべきか? それならば落ち着いて答える事も出来るし、気持ちの整理も付けた状態で想いを口にできる。

 なかなかにいい考えだ。

 いざ覚悟を決め、颯人にこの場での返答は見送らせてもらう事を口にしようとした。

 その時である。

「(わわっ!? 翼さん、ちょっ!? 押さないでッ!?)」
「(いや、
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