第01部「始動」
第06話
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きにしろ」
「本当ですかマスター!有難う御座います!!」
「…離れろ」
ラムダが抱き着いてきた。一番長く付き合いがあるのは俺かラピス。恐らくそれが元になってるんだろうが…お前がやったら……
「マスタ?私は幸せです」
…ぅ…これじゃラピスの事を言えないぞ…
黙って頭を撫でてやる。しかし、同じ年くらいの女が頭を撫でられて喜ぶってどうなんだ?
「嬉しそうね…」
「なんだったら僕が」
何かアカツキが殴られてるように見えるのは気のせいだろう。ああ。今日は本当に疲れた…寝ても、いいよな……
「マスタァ?」
微睡みながら意識を手放した。
「何だかんだ言って、結構溜まってたんだろうね」
「そうね…」
--
静かだ。
こんなに静かな夜は何時以来だろう。
以前は、何時ものように思い出していた過去の記憶。
楽しい事があった。悲しい事もあった。嬉しい事も…そして、それらは全て崩れて消えていった。
許されない事をした。それが過去自らが許せないと言い切った事であることは十分に承知の上で。
-復讐-
俺は復讐がしたかった。
毎日が苦痛で毎日が恐怖で、毎日が地獄だった。
今日も一人居なくなった。同じぐらいの年の人だった。俺の後に連れて来られ、俺と同じように五感に支障をきたしていた。
思い出したくもない…思い出せば恐怖で手が震えた。紅い…紅い目が俺を見ていた。
弱かった。自分という存在が許せなくなるくらいに。ちくしょうちくしょうちくしょうちくしょう…
壊れたかった。現実から逃げて逃避すれば…諦めれば楽だったのかも知れない。楽に…楽になりたかった。
俺の中で繋がっていた唯一の線は…もう二度と会えない、銀色の髪の妹と言える子……その子によく似た、薄桃色の髪をしていた筈の少女の存在。
金色に光る瞳が俺を見ていた。色を失って久しいけれど、あの子に会い話をした時間は恐怖を忘れることの出来た。
明日が来るのが怖かった。何時とも知れない死が近づいてくるように感じたから。
意識がぶれる。思考が出来なくなっていく。
こんな幕引きが俺の最後…もしか さ がいる ら せめ て あの だけ た-
…俺は今無力な自分を殺した。殺したと思っていたんだ。
だがそれは幻想で、今の俺の気持ちすら殺せない。
許されない行為だと理解しながら、俺は実行した。
…………。
「アキト」
何度も聞いた少し重さを感じさせる少女の声。
「…ラピスか」
「うん」
静かな沈黙が流れる。
「アキト」
「…ん」
背中が引っ張られる感触。
「俺はな。ラピス…お前が傍にいてくれて良かったと思っている。だけどな。同時に痛かった」
ラピスは何も言わない。
「お前はそう思わない
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