★=職場体験編= ネームセレクト
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まだ俺の耳には事情は入っていないが、ラインでそのうち話したい、許可は出てると伝えられたので今は待ちの時間だ。こいつ謎なんだよなー。原作いない勢というだけで謎多いけど。
で、最後に俺こと水落石拓矢。
「十手ヒーロー、ゴヨウマル!」
「御用だ御用だ、ってやつね! でもその名前だと時代劇の和の雰囲気を連想させるんじゃないかしら。実際の姿と名前のミスマッチは知名度認知の足枷になるわよ?
「成程……ちょっと考え直します」
割と真っ当な指摘を受けてしまった。
ヒーローとは俺が目指すべき未来像。
……デクくん助ける以外なんも考えてねぇ!!
俺の心は空っぽ(エンプティ)だ!
「未来見えない系ヒーロー、エンプティ」
「ネガティブな意味なのは印象が悪いわよ。ヒーローは希望を与える存在でなくっちゃ!」
「成程……もっかい考え直します」
俺はどうしたいのか……俺は別に世界中が平和になれとか目に付く人間余すことなく幸せにしたいとか考える程精神が超越していない。なので、誰かの希望になる程度でいいのではないだろうか。
「という訳で、目の前の人に頼られることから始めます。ユアホープで!」
「ふーん……それも十分青臭いと思うけど……そういうのは好きなのでOK!!」
「あざっす、ネムちゃん先生」
「ミッドナイトとお呼びッ!!」
――こうして、俺はユアホープというパッとしない名前のヒーローとして職場体験学習に参加することとなる。
このユアホープという曖昧な名前が、俺の想像以上にたくさんの人の希望になることを、この時の俺はまだ知る由もなかったのである。
= =
「が、かはっ……」
短い悲鳴と共に、大地に転がる躯が鮮血をびちゃりと散らす。
それを見下ろす男は、静かに左手に持った剣に付着した血を左手で拭い、血払いと共に納刀する。くだらないものを見る目でその躯を見つめた男は、不意に足元にいる犬のような生物の腹を軽く蹴る。
「食うて良いぞ」
その生物――ぎょろりとした眼球に剥き出しの脳を持つ生物は、ばっと顔を上げて口を開き、布のような器官を広げて死体と広がる血痕に被せる。ぐちゅ、じゅる、ずるる、と不快な水音を立てて布のような器官がゆっくり格納され、やがてそれがあった場所には生物の唾液以外何も残っていなかった。
つまらぬ世の中になった、と男は鼻を鳴らす。
嘗て、ある男に幾つかの個性を与えられ、男は人斬りになった。
刀が格好いいとか、剣道の腕を人斬りに使わないのでは意味がない、とか。
最初はそんなことを思って人斬りの道を究めた。
しかし、ヒーローという存在が法制化され大衆に媚び、個性が拡大していく中で、剣の道は自然と廃れていっ
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