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親切な竜
第四章
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「山に来た者には好きなだけ掘らせて持って行かせている」
「気前もいいか」
「ははは、それこそ幾らでも出て来るからな」
 金銀や宝石がというのだ。
「どうということはないわ」
「成程な」
「それから山を下りるといい。だがな」
「だが?どうしたんだ?」
「わしの噂は悪い噂のままでな」
「流していて欲しいか」
「そうだ、そこは頼む」
 山を下りてもというのだ。
「わしの目を逃れて何とかお宝を手に入れたとかわしに襲われたが命からがらとかな」
「そう言っておけばいいか」
「左様、悪い噂を流しておくとな」
「誰でも入らないな」
「流石に誰でも山に入れるつもりはない」
 竜にしてもというのだ。
「勇気がある者だけだ」
「竜をも恐れない」
「そうしたいからな」
「考えているな」
「だからな、そこは頼むぞ」
「わかったさ、それじゃあな」
 それならとだ、シンドバットは自分を遥かな高さから見下ろす竜に笑顔で答えた。
「そうさせてもらうな」
「その様にな」
「じゃあ持てるだけ持って行ってな」
「そしてか」
「このお宝使わせてもらうな」 
 自分の財産そして商売の元手としてというのだ。
「是非」
「そうするといい、ではな」
「ああ、これからだな」
「そこに案内してもらうな」
 こうしたことを話してだった、そのうえで。
 シンドバットは竜に彼の親切心からより宝が掘れる場所に案内してもらってそうして持てるだけ掘ってだった。
 その宝達を持って行って山を下りた、するとペルシャ人達は彼の生還に驚き口々にどうして無事だったのか聞いた。
「俺の頭でな」
「知恵でか」
「それでか」
「俺を探し回って殺そうとする竜をな」
 竜との約束を守って彼をあえて悪く話して言った。
「逃げて隠れて裏をかいてな」
「やり過ごしてか」
「そうしてか」
「金銀や宝石を手に入れて」
 そうしてというのだ。
「無事に戻って来たんだよ」
「凄いな」
「本当に竜の上をいくとかな」
「あんた凄いな」
「物凄い頭だな」
「それに肝っ玉だな」
「そうさ、ただな」
 ここでシンドバットは竜との約束を守りつつも真実も話そうと思いこうも言った。
「まずは危険な場所に入る」
「それがか」
「それが大事か」
「肝っ玉でな、後は話す頭があれば」
 それでというのだ。
「意外と上手くいったりするものさ」
「そうか?」
「そんなものか?」
「俺が言うのはそれだけさ、じゃあ儲かったし」
 それでと言うのだった。
「俺はこれで帰るな」
「そうするか」
「そうするんだな」
「ああ、そうするな」
 こう言ってだった、シンドバットは意気揚々とペルシャから彼の家に戻った。そうしてまた商売を行ったが。
 その時の冒険の
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