暁 〜小説投稿サイト〜
尻フェチ
第六章
[1/2]

[8]前話 [1] 最後
「この娘は」
「水着や下着のグラビアも人気で」
「アイドルは絶対にグラビアになるよな」
「それもお仕事の一つだからね」
「もうそれは受け入れないとな」
 水着姿や下着姿を人前に晒すことはだ。
「当然として」
「そうよね、それでね」
「それで?」
「その娘お尻が評判らしいよ」
「そういえば形いいな」
「そうでしょ」
「言われて気付いたよ」
 こう妻に言うのだった。
「今な」
「そうなのね」
「ああ、けれどな」
「けれど?」
「若い時ならな」
 和馬は自分の過去を思い出しつつ語った。
「俺もそれでな」
「興奮したのね」
「お尻好きだからな」
 それでというのだ。
「そうだったけれどな」
「じゃあ今は」
「もうな」
「ないのね」
「ほぼな」
 乾いた目でテレビを観つつ述べた。
「そうなったな」
「あなたも変わったわね」
「変わったっていうかな」
「っていうか?」
「歳取ってな」
 あと少しで還暦という年齢になっている。
「もうな」
「そうしたことでなのね」
「枯れたからな」
「あなたもそうなるのね」
「四十五位まではな」
 まさにその時まではというのだ。
「どんどんだったのが」
「それがよね」
「枯れたな」
「あなたがそうなるとかね」
「そういう奥さんもな」
 和馬はキッチンで洗った食器を拭いている妻に言った。
「変わっただろ」
「私もなのね」
「ああ、そうだろ」
「そうね、もうそうしたことをしようって」
 その様にはとだ、夢子も答えた。
「思わなくなったわ」
「二十代三十代の頃と違ってな」
「それはね、けれどね」
「今はな」
「歳になって」
 とにかくこのことが大きかった。
「体力もないし」
「お互い大きな病気はしてないけれどな」
「そうね、けれどね」
「歳だからな」
 和馬は若い時よりかなりトーンが落ちた調子で言った。
「本当に」
「そうなるとね」
「本当にそんな気なくなるな」
「出ても滅多にで」
「ああ、それでな」
 ここで和馬は自分の身体と夢子の身体を見比べた、そうしてそのうえで今度はこんなことを言った。
「俺も奥さんも身体がな」
「くたびれてね」
「ああ、それでな」
 その為にというのだ。
「余計にそんな気がなくなるな」
「私のお尻だって」
 夢子はかつて夫が毎日見て来たその尻に手をやりつつ話した。
「お肉がついて垂れて」
「それ言うか」
「実際にでしょ、何ていうか」
「そうしたことで何がいい何処がいいとかな」
「そんなことを言えるのはね」
 それこそというのだ。
「若いうちよね」
「ああ、歳を取るとな」
「もうね」
「そんなこと言うとかな」
「ないわね」
「ああ、じゃあ今日はな」
[8]前話 [1] 最後


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ