第五章
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高校から大学に進みそこを出てだった、家が経営している会社に入社して実際に働いてそこから会社のことを学んでいったが。
「よく出来た人だな」
「まだ若いというのに」
「あれなら会社を任せられるな」
「将来が楽しみだな」
こうしたことを言われた、そしてこうも言われた。
「ちゃんとした教育受けていたんだな」
「会社を継ぐにはやっぱりちゃんと教育受けないとな」
「さもないと会社潰すからな」
「跡継ぎはちゃんと育てないとな」
こうも言われるのだった、そうして壮馬は経営者としても道を歩んでいった。温和でよく学んでいる真面目な経営者になる為に。
だが結婚はだ、父の俊彦にこう言われた。額は広いが細面で黒髪を左右に分けた整った痩せたスタイルの男だ。目鼻立ちは整い背は一七三程だ。
「家柄はいい」
「それはなんだ」
「大事なのはな」
それはとだ、父は息子に言うのだった。
「どうした相手かだ」
「縁組じゃないんだ」
「それも組むなら組んでいいが」
それでもというのだ。
「大事なのはな」
「どうした人かなんだ」
「いい奥さんを貰えば」
それでというのだ。
「会社でも家庭でもいいからな」
「それでだね」
「お前もいい奥さんを貰え」
「お父さんやお祖父ちゃんみたいにね」
「それはお前で選べ」
「いい人をだね」
「人の見極めも教えた」
これは祖父だけでなくこの父もそうしたのだ。
「ならな」
「それで、だね」
「いい人を選べ」
「奥さんも」
「そうしろ」
こう父に言われた、そうして壮馬は実際にいい妻を探して奔走したがそれはまた別の話だ。だが良妻を得て幸せになれたことはここで書いておくことにする。これもまた確かな教育を受けたからだった。
社長の息子 完
2019・7・13
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