第二章
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「出て行くとは」
「頭のよい若者ですから何か考えがあるのでは」
「まさかと思うが」
王はこう思った、だが。
何と芝刈りは半年して戻ってきた、そうして王に言った。
「魔術師、師匠の書斎に毎日夜や師匠のいない時に自分で熱心に学び」
「そうしてなのか」
「師匠の術を学び終えて戻ってきました」
「五十年を半年でか」
「五十年かけて教えられるものも文字が読めれば」
それでというのだ。
「己で学ぶことが出来てです」
「半年で出来るのか」
「左様です、そして先程家に帰ると働き手の私がいなくなった家は酷いことになっていたのですぐに戻って親を助けてきます」
「待て、そなた術を覚えてきたのなら」
それなら約束だったので王女との結婚を許そうと言おうとしたがそれよりも前にだった。芝刈りは家に戻って自分の魔術で何かと働いて両親を養った。王はその芝刈りを見てまた妃に言った。
「魔術を自分の為にではなく両親の為に使うとはな」
「このことについてですね」
「見事だ」
こう言って芝刈りが王女のことを思い出した時に結婚を認めようと決めた、だがその年の冬にだった。
芝刈りが街で魔術を使って大道芸をして見物客達から金を取っているとそこにだった。黒い髭を長く濃く生やした大男が来た、そのうえで彼に言ってきた。
「見つけたぞ」
「これはお師匠様」
芝刈りはその魔術師バーザルシャーンの姿を認めて彼に応えた。
「お久し振りです」
「お久し振りではない、貴様五十年の修行を勝手に抜けてしかもわしの許可を得ないで魔術を使っておるではないか」
「許可が必要だったのですか」
「いつも言っておったな、とにかくここで会ったが百年目でだ」
それでというのだ。
「気が済むまで殴って懲らしめてやる」
「平手で一発でしょうか」
「杖で何十何百発もだ」
「そこまで殴られるとたまったものではありませぬ」
「だから仕置きだ、覚悟せよ」
魔術師はこう言って杖を出して芝刈りのところに突進した、芝刈りはそれを見てすぐにだった。
たまたま傍に羊の群れが通ったのを見て羊に化けてその中に紛れ込んで逃げようとした、だが魔術ウィは狼になって追いかける、それで。
芝刈りは街に出るとすぐに砂地だったので一本の針に化けて砂の中に紛れてやり過ごそうとした、しかし魔術師は芝刈りが姿を変えた辺りに行くと大きなふるいを出して砂をふるい分けはじめた、それでふるいの上に一本の針芝刈りが化けたそれを見付けて手に取ろうとした、だが芝刈りは捕まる前に鳩に化けて逃げ去った。すると。
魔術師は鷹になって追った、若者はまた捕まる直前にまでなったので丁度下を歩いていた商人の方に飛んで。
さっと柘榴の実になって商人の前に落ちた、商人はその柘榴を見て冬に柘榴は珍しいと思い手に取って言
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