第六章
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「毎日は出来ないからな」
「そうなんですか」
「肝心の耳垢がそこまで出ないからな」
それでというのだ。
「毎日したら耳が傷付くぞ」
「耳の穴が」
「だから無理だ、一週間に一回位だ」
「それは残念ですね」
「残念でも実際にな」
「耳垢は出ないので」
肝心のそれがとだ、和馬も言った。
「そうですか」
「実際お前どれだけ耳かきしてるんだ?」
「一ヶ月に一回位ですか」
「そんなものだろ、だからな」
「毎日はですか」
「出来ないからな」
それが現実だというのだ。
「そこはわかっていろよ」
「そんなものですか」
「そうしたことをわかったうえでな」
「ハーレム持ってですか」
「耳かきしてもらえ」
「それじゃあ」
「その為にも美味いお好み焼き焼いて経営も勉強してな」
秀一は二枚目の豚玉を頼みつつ和馬に話した。
「ハーレム持てる様な金持ちになれよ」
「ああ、絶対にな」
和馬は秀一にそして何よりも自分自身に誓った、そうしてだった。
彼は学校に通いつつお好み焼きそして店の経営のことを学んでいきやがてお好み焼きのチェーン店の社長になりハーレムを持てるだけの資産を持った、そのうえで今もお好み焼き屋の出店をしている店長と普通のサラリーマンになっている秀一に話した。
「俺は夢を適えたぜ」
「そうか、ハーレムを持ったか」
「遂になったんだな」
「ああ、しかしな」
それでもと言うのだった。
「お姉ちゃん達は実はアンドロイドでな」
「少子高齢化だからな」
「そうなったか」
「それで毎日遊んでるけれど耳かきはな」
肝心のそれはとだ、もう中年になっているがそうしたことは好きなままの和馬は語った。顔立ちはやや皺が出来てきていて髪の毛は少し薄くなりだしているが昔の面影はそのまま残っている。
「やっぱりな」
「毎日出来ないだろ」
歳を取っても外見はあまり変わっていない店長が問うた。
「そうだろ」
「はい、他のことは出来ても」
「そうしたものなんだよ」
「耳かきは」
「幾ら気持ちよくてもな」
「アンドロイドでも肌の実感は人間と同じですが」
「他のこともだな、けれどな」
それでもとだ、店長は言うのだった。
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