第三章
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「この通りな」
「若しそこから出たら」
「もう何の邪気もないままだ」
猫の習性そのままにというのだ。
「あちこちに悪さをしてな」
「大惨事になりますね」
「だから出せん」
「全く、とんでもないことしましたね」
「殺してはおらんし犠牲は出さない様にしている」
「いや、それでもですよ」
どうかとだ、渡辺は保志に話した。
「これは充分ですよ」
「とんでもないか」
「全く、虎を象位の大きさにしたのと同じですよ」
「研究所のイメージキャラになってお客さんも呼べる様になっているがな」
巨大猫を観ようと観光客が呼べる様になっていて世界中から研究者も来てそれで入館料を取ると結構な収入になっているのだ。
「とんでもないか」
「はい、どう考えましても」
「やれやれだな」
「本当にやれやれです、とにかくです」
渡辺は保志にさらに言った、自分も今度はボール遊びに飽きて欠伸をしてから毛づくろいや顔を洗いはじめた猫達を見つつ。
「兎もですか」
「うむ、巨大化させてな」
そうしてとだ、保志は渡辺に悪びれずに答えた。
「食用や毛皮用にな」
「してみようって思われてるんですね」
「牛位の大きさにしてな」
「家畜化ですか」
「そうしようと思っておる」
「懲りないですね」
「何を言う、懲りて止めるなら」
それならとだ、保志は渡辺に平気な顔で言い返した。
「研究なぞな」
「出来ないんですね」
「そうだ、だからわしはな」
そのアニメの悪役それも公家風だの癖のあるラスボスだのそうしたものを思わせる声で言うのだった。
「あえてだ」
「兎をですか」
「巨大化させる」
こう渡辺に言うのだった。
「そして食用と毛皮にだ」
「使いますか」
「食糧危機は起こる」
保志は古来より言われている言葉を言った。
「必ずな」
「そう言っていますが」
渡辺は保志の古典的な言葉に現実で返した。
「実は世界の食糧問題は」
「好転しているか」
「今飢餓状態にある国は」
「北朝鮮とアフリカの限られた国か」
「はい、むしろ肥満がです」
こちらの方がというのだ。
「多くの国で深刻な問題になっていますが」
「それはな」
そう言われると、とだ。保志も否定しなかった。
「事実だな」
「博士もわかっておられますね」
「北朝鮮もアフリカの国も政治に問題があってだ」
保志も保志でわかっていた、このことが。
「内戦等になってな」
「飢餓状態に陥っていますね」
「全体的に考えるとな」
「飢餓は減っていますね」
「そうだ、だがだ」
「飢餓は常に隣り合わせである」
「そう考えてだ」
そのうえでというのだ。
「わしは主張するのだ」
「そうですか」
「そして実行に移すのだ」
「兎を巨大化させて
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