第一章
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巨大兎
渡辺好美はこの時自分が勤めている八条生物研究所の研究主任である保志隆聖に対して思わずこう問い返した。細い眉の下に一重の穏やかな感じの目がある。顎の先が尖った面長の色白の顔で頬はふっくらとしていて唇はやや厚めで色はピンク色だ。黒髪をウェーブにさせて伸ばしていて背は一五九程だ。白衣の下は城のブラウスと膝までの黒いタイトスカートである。
「兎をですか」
「そうだよ」
保志は渡辺に笑って答えた、癖のあるテノールの声はどういう訳か悪役めいたものに好美には聞こえるのはいつものことだ。やや細面で細めの二重の瞳に濃い眉を持っている。髪の毛は黒く額が左右から剃り込みの様に髪の毛を脅かしている感じだ。面長の顔に笑っている口元だ。背は一六五位で中肉で白衣とスーツがよく似合っている。
「大きくするんだよ」
「兎を大きくしても」
「それも虎並にね」
「いえ、ですから兎を大きくしても」
渡辺は保志にどうかという顔で述べた、表情はこの話を聞いた時から変わっていない。
「別に」
「これといってというんだね」
「意味ないんじゃ」
こう保志に言うのだった。
「正直言いまして」
「何を言うんだね、君は」
「何を?」
「兎は食べられるじゃないか」
こう言うのだった。
「しかも美味しい」
「鶏肉みたいな味がしますね」
実際にとだ、渡辺も答えた。
「美味しいですね、確かに」
「君も知ってるじゃないか」
「一羽二羽と数えて」
渡辺は兎の数え方も知っていた。
「狩りでよく捕まえますね」
「そして食べる」
「フランス料理ではよく食べますね」
「日本ではあまり食べないが」
「実際私も二回位しかないです」
兎を食べたことはというのだ。
「実は」
「少ないな」
「あまり食べる機会ないですから」
保志が今言った通りにというのだ。
「日本では」
「そうだな、しかし美味くてだ」
保志はまだこのことを言った。
「そして毛皮も使える」
「兎のですね」
「意外といい生きものなのだよ、しかも草食性だ」
保志はこのことも話した。
「大きくなっても人を襲わない」
「それはそうですが」
「例えば猫を巨大化する」
見れば保志の後ろには象位の大きさの寅毛の猫と白毛の猫がいる、二匹共研究所の中の自分達のコーナーで堂々とくつろいでいる。
「トラとシロだな」
「博士の後ろにいる子達ですね」
「うむ、猫を大きくするとな」
「猫の習性そのままで」
「思い切って象位の大きさにしたが」
「虎かライオンで止めておかないと」
「猛獣になった」
文字通りのそれになったというのだ。
「幸い最初からコーナーの中に入れておいたが」
「大きいとパワーが違いますからね」
この理屈は渡辺
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