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赤いエナメル
第一章

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               赤のエナメル
 赤いエナメルの靴、その靴を休日に行った百貨店の五階にある靴屋さんで仕事場への行き帰えりそして仕事の時に履く靴を探していてだ。
 私は赤いエナメルのハイヒールを見付けた、いいデザインで色合いも鮮やかだ。そしてその値段もだ。
 随分と安かった、それで私は若い女性私と同じ位の年齢の店員さんに尋ねた。見れば靴のサイズの私のサイズだった。
「この靴この値段ですね」
「はい、バーゲンの残りで」
 それでとだ、店員さんは私に答えてくれた。
「売れ残りでして」
「見たところ新品ですが」
「新品は新品でも」
 それでもというのだ。
「バーゲンの残りなので」
「だからですか」
「はい、ですから」
「このお値段ですか」
「そうです、ですから」 
 それでというのだ。
「このお値段です」
「そうですか、それじゃあ」
 デザインも色合いもよくてサイズもぴったりだ、それに価格もいいのでは買わない手はなかった。それでだ。
 私は実際にその靴を買った、正直言って靴も安いに越したことはないので有り難かった。それで上機嫌で他の買いものもして。
 それから家に帰った、そして次の日にその靴を履いて出勤した。すると三時の休憩時間の時に同期の娘が私の足を見て言ってきた。
「いい靴買ったわね」
「わかる?」
「わかるわよ、本当のお洒落はね」 
 同期の娘は私に笑って話した。
「足からっていうから」
「だからっていうのね」
「そう、いつも人の靴をチェックしているから」
 それでというのだ。
「わかるわよ、それでね」
「それで?」
「あんたその靴はいつもね」
「あっ、磨いてっていうのね」
「ちゃんとした方がいいわよ」
「わかってるわ、ただね」
 ここで私は同期の娘に苦い顔になって話した。
「あんたとか女の人は見るけれど」
「靴をね」
「そう、女の人の靴はね」
「男の人って見ないわよね」
「同棲してる彼なんてね」
 昨日もベッドは一緒で一緒に家を出て仕事に向かったけれどだ。彼の勤務先は私の勤務先とは違う区にあるので乗る電車は違うけれどそうした。
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