その36
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ケの動揺は深くなった。
これを、護れるようにならねばならないのだと、深く実感する。
同時に、この程度で寝込む軟弱な己と、サスケのそんな気持ちを微塵も理解せず、昨夜の件で仲違いせずにいられた事に素直に喜び、浮かれるナルトの無邪気さに腹が立った。
だが、ナルトを手放す選択はあり得ない。
しかし、ついついいつものように苛立ちをぶつけるように怒鳴りつけてしまう。
「好きにしろ!」
しまったと後悔しつつ、そんな対応を取ってしまったサスケに対するナルトの反応が気になり、不安になる。
が。
普段通りだったのが逆に良かったのか、サスケの反応を大して気にした風もなく、ナルトはいつものように切り返して来た。
「じゃあ、サスケ。今日の夜ご飯の時にまたね。ゆっくり休んで早く良くなってね」
やつあたりするような大人げない態度を取ったサスケに、変わらぬ気遣いと優しさを向けてくれるナルトの対応に、子供っぽい駄々をぶつけてしまったばつの悪さがサスケに浮かぶ。
だが、今更頭を下げる訳にもいかない。
しかし、筋は通さなくてはならない。
サスケは一人葛藤する。
「ナルト」
湯飲みと残りの丸薬を乗せた盆を持ち、サスケの部屋を後にしようとしているナルトの気配に、必死に平常心を繕いつつ声をかけるた。
「なあに、サスケ」
「世話をかけて、すまない」
不思議そうに気負いなくサスケに応えたナルトに、今のサスケが贈れる精一杯の気持ちを告げた時だった。
ナルトが喜色に満ちた声を上げた。
そして、その声に、サスケは一つ、ナルトに対して理解した。
「ううん!なんか、こういうの、僕がサスケに頼られて、サスケの力になれてるって感じがすっごくするから、全然構わないよっ!あ、でも、サスケが気になっちゃうんだったら、僕が何かで寝込んじゃった時は、サスケの事を僕が頼ってもいい?」
そうして、波の国で敵対する立場にあった同年代の忍から贈られた言葉も思い返し、サスケは小さく口の中で呟いた。
「自分を必要とする者、か…」
その観点からしてみれば、ナルトにはそういう人間が欠け過ぎていると容易く判断できる。
そして、だからこそ、ナルトを縛る方法や、言葉も。
「そんな事、当たり前だろう!お前はオレ以外の誰に頼る気だ」
恥を忍んで本音を晒せば、予想通り、ナルトは言葉を失った。
そして、あからさまに照れていると分かる嬉しそうな甘えた声で、嬉々としてサスケに甘えてきた。
「じ、じゃあ、その時は遠慮なくサスケを頼るね?でも、僕も、サスケを頼りっぱなしなのは気になるから、サスケも僕を頼ってね?遠慮しなくていいからね?」
サスケに甘えつつ、サスケを気遣い、健気な事を口走るナルトに、読みが当たった事に浮かれながら、サスケは思わず自分の布団の中にナルトを引きずり込みたい衝動に駆られた。
その衝
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