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NARUTO 桃風伝小話集
その36
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た己の未熟さに苛立った。
ついで、白湯の注がれた湯飲みを差し出され、それを受取ろうとした時、何気なくナルトと目が合った。
その時だった。
にこーっという擬音や、花でも辺りに散っているのではないかと思うような満面の笑みをナルトが浮かべた。
真正面からナルトのそんな嬉しそうな笑みをぶつけられ、サスケは思わず動揺した。
今までもそれなりにナルトの笑顔を見てきたが、そんな風な、ナルトの浮かれ切った無防備すぎる無邪気な笑顔など、今までサスケは見たことがなかった。
ナルトが浮かれ、喜んでいる理由は分かる。
ナルトの言い分を信じるか信じないかはともかくとして、サスケに拒絶されず、突き放されもせず、曲がりなりにも話をすべて聞いてやって、その上でナルトを受け入れる態度をサスケが取ってやったからだろう。
それが余程嬉しかったと見える。
今まで以上にサスケに対する好意と信頼が透けて見える笑顔だった。
可愛いと、素直にそんな感想がサスケの胸に浮かぶ。
自分の中にそんな感想が浮かんでしまった事に更に動揺して、動揺を堪える様に、慌てて丸薬を白湯で飲み下す。
そして、飲み下した瞬間。
今度は一連のナルトの振る舞いに、かつて出会ったばかりの頃のカカシが、ナルトに向かって下した評価が、あの時よりも実感を伴ってサスケの胸に蘇ってきた。
思い出したそれに赤くなって熱を持つ顔をナルトに悟られぬよう、空になった湯飲みをナルトに押し付け、頭から布団を被って横になる。
「寝る!!」
一方的に宣言すれば、挙動不審なサスケの態度を気にした風もなく、ナルトがサスケに尋ねてきた。
「ご飯はどうする?おかゆか何か作ろうか?」
サスケに対するナルトのそんな気遣いが、直前に思い返した事を肯定するかのようで、サスケは必死に動揺を悟られぬよう声を張り上げてナルトを遠ざけた。
「病人扱いするな!ひと眠りすれば治る!お前ももう帰れ!」
どきどきと痛い程胸が鼓動する。
今の今までサスケもあまり実感はしていなかったが、それでもサスケが心に決めて決意した事は、つまり、全部、そういう事だ。
決定を変えるつもりは微塵もないが、だが、今はナルトと対せず一人になりたかった。
でないと、これ以上、どんな醜態を自分が晒してしまうか知れたものではない。
ただでさえ、今回、サスケ一人が寝込んでしまうという醜態を晒しているというのに。
なのに!
「それもそうだね。じゃあ、あとで夕飯時にもう一度顔を出すね?ご飯食べながら明日の予定相談しようよ。それでいいでしょう?」
無邪気にそう問いかけるナルトの能天気さにかっとなったが、その原因は、元はと言えばサスケ自身が昨日言い出したことに違いなかった。
それがどんな意味を持つのかも知らずに、素直にサスケの意に添い、従おうとするナルトの従順さに、ますますサス
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