第三章
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「あの猫は違うな、それにな」
「それに?」
「化け猫ってあれだろ」
「ええと、あれっていいますと」
「化け猫は尻尾二本あるだろ」
「ああ、猫又ですね」
尻尾が二本と聞いてだ、大西は社長にすぐに応えた。
「猫又ってその名前の通りですね」
「又な」
「尻尾が二本あるんですよね」
「ああ、けれどな」
「あの猫尻尾一本でしたね」
「そこが気になるんだよな」
どうしてもとだ、社長は大西に腕を組んで話した。
「どうも」
「化け猫なのは間違いないにしても」
「ちょっと違う感じがするな」
「言われてみますと」
「というかあの猫自体な」
社長はさらに言った。
「日本の猫って感じしないな」
「ですね、洋猫ですね」
「種類はわからないけれどな」
「あっちですよよね」
「全体的に丸いからな」
「顔も身体も目も足も」
「だからな」
そのことからだ、社長は大西に話した。
「マンチカンかスコティッシュフォールドか」
「あの、どっちの猫も」
そうした種類の猫の名前を聞いてだった、大西は社長に答えた。
「あんなでかくないですよ」
「そうだな、というかどの猫もな」
「あんなにでかくないですよね」
「あの大きさ自体有り得ないな」
「大型犬位ありますよ」
「体重もそれ位あるな」
「太ってますし五十キロはあるんじゃ」
測った訳ではないがそれ位はありそうだというのだ。
「あの猫は」
「そうだな、しかしな」
「それでもですか」
「正直俺も確かなことは言えないさ」
「あの猫については」
「化け猫だって確信していてもな」
それでもというのだ。
「あの猫のことはな」
「そうですか」
「実は有名な猫なんだよ」
社長はお茶を飲んでからあっさりとした口調で述べた。
「あの猫は」
「そういえば猫カフェにも出てるんでしたね」
「銀河さんが経営しているな」
「そちらにですか」
「名前はパイプっていうのでな」
「そのままの名前ですね」
「その店でも有名でな」
その猫カフェでもというのだ。
「ご主人自体あの外見だろ」
「一目見て忘れられないです」
「そんな人だからな」
それでというのだ。
「滅茶苦茶目立ってな」
「それで、ですか」
「ああ、有名人なんだよ」
「まあ一目見たら忘れられない人なんで」
「そうなんだよ、それであの猫のことをもっと知りたいならな」
それならとだ、社長は大西に話した。
「猫カフェ行ってくればいい、店の名前はラ=フルールだ」
「フランス語でお花ですね」
「サド侯爵が愛人に自分をそう呼ばせて鞭でぶたせてたらしいな」
「そこから取った名前ですか」
「あの人実はマゾでもあってな」
サディズム、まさにその名前から付けられたこの性的嗜好
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