三十一 接触
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蛇丸は【八岐の術】の術を解いた。
チャクラも残り少ない。これ以上の戦闘は身体に負担がかかる。
「残念だけど、お遊びはここまでね…────でも、その前に」
九尾化したナルとの戦闘で、もはやクレーターの如く抉れた地面を、大蛇丸は強かに蹴る。
蹴った場所から、ぼこぼこと地面を掘って現れた存在に、大蛇丸は眼を細めた。
「そんな地下で私を観察してないで。目上の人間に話しかける時はちゃんと顔を見せて話すのが礼儀よ」
大蛇丸の忠告を聞いて、地中で彼の動向を窺っていた存在─サイは、「失礼しました」と頭を下げる。
「ボクはダンゾウ様の使い。敵ではありません。貴方にお話があります」
胡散臭い笑顔を浮かべるサイを、大蛇丸は胡乱な目つきで見据えた。
「さっきから視線を感じていると思ったら…君だったのね」
ヤマトの木分身、ましてやナルトのことは流石に気が付かずとも、何かしら視線を向けられていると感じていた大蛇丸は、その視線の主をサイだと認識して、眼を細める。
大蛇丸の言葉に否定も肯定もせず、サイは淡々と己に課せられた任務を遂行した。
「ダンゾウ様はあの『木ノ葉崩し』以来、大蛇丸様との接触の機会をずっと切望されておいででした」
サイの発言を聞きながら、大蛇丸は涼しい顔の裏で思考を巡らす。
ダンゾウとは『木ノ葉崩し』にて会ったきりだった。
大きい街はたった数年の間にも意外と変わるものだ。如何に木ノ葉の里出身だからと言って隅々までが以前のままとは限らない。
故にあの時、『木ノ葉崩し』を仕掛ける前に、木ノ葉の里の詳しい地形が載った地図が大蛇丸には必要だった。
また暗部に扮する為に暗部服一式や本選会場の見取図等も手に入れなければならなかった大蛇丸は、それらを秘かに盗み取れたにも拘らず、ダンゾウ本人に同盟を持ち掛けた。
その理由は一つ。
ダンゾウ率いる『根』を敵に回したくなかったのだ。
木ノ葉の忍びに加えて『根』と敵対すれば手を焼くのは必須。
元一員だったからこそ大蛇丸はダンゾウと手を組むのを選んだ。
望むべきは『木ノ葉崩し』の黙認。
その申し出をダンゾウは呑んだ。火影の椅子を提供するのを条件に。
結局、火影にはなれなかったものの、ダンゾウと『木ノ葉崩し』の際に手を組んでいたのは事実。
だが、おそらく目の前のサイという青年は、自身の主と大蛇丸が『木ノ葉崩し』で取引していたなど知らないだろう。
如何にもダンゾウらしいことだ、と口許を愉悦に歪め、大蛇丸は「それで?」とサイを促した。
「既に【根】からは鬼童丸・右近/左近を派遣していたにもかかわらず、君が来た理由は?」
「あぁ。彼らはただの手土産です。裏切者は自らの手で下したいだろうというダンゾ
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