三十一 接触
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「だから、ここで君達を生かしておけば、これから先、今度は暁の誰かひとりくらい、始末してくれるかもしれないと、ふと思ってね」
(まぁ本当は────)
ナルを治療する理由。
本心を隠して、そう答えたカブトは、己の嘘を信じたシカマルとカブトに、にっこり笑顔を向ける。
胡散臭い笑顔に顔を歪めたシカマルは、徐々に治ってゆくナルの身体を眼にして、僅かに気を緩めた。
腹の探り合いをする周囲をよそに、ナルがようやく身動ぎし始めた。
気が付いたらしい彼女の名をシカマルはすぐさま呼びかける。シカマルと入れ替わりに、すっと身を引いたカブトを、ヤマトは胡乱な目つきで見据えた。
「鬼童丸と右近/左近をあっさり殺したお前が今更、何故、ナルを生かす?」
「おいおい。彼らは元・音忍…裏切者を始末するのは当たり前だろう?」
悪びれる様子もなく、至極当然のように、鬼童丸・右近/左近を殺したのは自分だと認めたカブトはそのまま大蛇丸へ視線を向ける。
八つの頭を持つ巨大な蛇がぼふんっと消えてゆく様を見て取って、カブトは地面を蹴った。
「逃がすか…!!」
即座に木遁の術を発動し、腕を巨木へと変化させ、カブトを捕えようとしたヤマトの耳に、同時に木分身からの報告が届く。
次から次へと襲い掛かる問題に顔を顰めたヤマトは、カブトを捕まえたものの、木遁の術の拘束を緩めてしまった。
その隙に、カブトはヤマトの腕たる巨木から逃れる。
大蛇丸の許へ向かってゆくカブトの後ろ姿を苦々しげに見送りながら、ヤマトは木分身からの報告を耳にして、「そうか…引き続き、監視してくれ」と木分身に伝えた。
「なにがあったんスか?」
ナルの脈が正常に動いているのを確認したシカマルの問いに、ヤマトは顔を険しくさせて答える。
その顔には、次から次へと湧き出る問題のせいで、疲労の色が濃くあらわれていた。
「【根】のサイが大蛇丸と接触した」
ダンゾウの部下であり【根】の一員。シカマルが目撃した、【忍法・超獣偽画】による巨大な鳥に乗るサイ。
森の上空に飛ぶ白い鳥に乗り、大蛇丸の動向を窺っていたダンゾウの手の者が、今、この時になってようやく動いた。
「なにをするつもりなんだ…」
新たな問題に頭を抱えつつ、ヤマトは己の木分身がいる方向へ視線を投げた。
(これほどの木遁使いと、小さな九尾とやり合ったら、こちらが不利…そろそろ潮時かしらねぇ)
草薙の剣で遠くへ追いやったナルに視線を投げながら、大蛇丸は思案する。
蓮の花の花粉は即効性がある代わりに継続性はない。
花粉がなくなると効果も消える。
痺れが消え、身体が動けるようになった時点で、大
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