三十一 接触
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を捉える鎖だった。
《またこの鎖か…!!》
『木ノ葉崩し』。
一尾との対戦中、身体を動けなくさせたクシナの鎖。
その鎖で力を抑え込まれ、身動きできなくなっているナルの内側から、『九喇嘛』は術者たるナルトの居場所を見つけようと、剣呑な瞳をぎょろりと周辺に這わす。
だが、鎖の持ち主であり、【木遁・花樹界降臨】の術者の気配は、その場から微塵も感じ取れなかった。
《木遁使いがいたからこそ、使いやがったな、あのヤロウ…》
そもそも天地橋の周囲一帯は【木遁・花樹界降臨】の樹木にて形作られた森だった。
前以てナルトによって地形すら変えられ、時が来たら発動されるように施されていたのだろう。
普通ならあり得ない現象だが、あのナルトなら造作もないことだ。
そしてその術発動のタイミングは、木遁を使えるヤマトがその場にいるのが条件。
そうすれば大蛇丸は【木遁・花樹界降臨】の術者がヤマトだという考えに陥る。
ナルの内からずっと外の世界を観察していた九尾『九喇嘛』は、天地橋にサソリのスパイが訪れるという情報を木ノ葉に流したのもナルトではないか、とおおよそ見当がついていた。
それならば、あのナルトが落ち合う場所である天地橋に何も仕掛けていないはずがない。
《やっぱりあのヤロウは読めねぇな…》
九尾化したナルに、シカマルとヤマトが近づいている様子を、ナルトは蓮の花の影から窺っていた。
九尾『九喇嘛』の推測通り、天地橋周囲一帯を前もって【木遁・花樹界降臨】にて森へと変えていたナルトは双眸を細める。
『九喇嘛』の読み通り、木遁使いであるヤマトがいたからこそ、【木遁・花樹界降臨】の術を発動し、ナルトは己の仕業だと気づかれることなく、大蛇丸を抑え込んだ。
もっとも、それは大蛇丸が【八岐の術】という切り札を用いたから術を発動したのであって、【木遁・花樹界降臨】はただの保険である。
ナルトは、九尾化したナルへと影を伸ばし、【影真似の術】で動きを止めようとしているシカマルを俯瞰した。シカマルとヤマトに気づかれぬ前に、ナルの四肢を縛っていた鎖を解く。
同時に、ヤマトが【火影式耳順術・廓庵入?垂手】を発動させたのを見届けた。
ヤマトの掌に『座』の文字が浮き上がり、それをナルに押さえつけている。
九尾のチャクラを強制的に抑制する術だ。
九尾化していたナルの身体が徐々に元へ戻ってゆく。だが皮膚の爛れたナルの悲惨な姿に、彼は眉を顰めた。
【木遁・花樹界降臨】の蓮の花粉の効果も薄れてきている。
そろそろ大蛇丸が動き出す頃だ。
シカマルとヤマトが、ナルの身体を気遣っている様子を、高所たる蓮の花の影からじっと見下ろす。
ふと、彼らに
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