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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第10話:マジックショー、開幕
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人物は、見た目だけで言えばウィズと瓜二つだった。ただ彼とは違い、身に付けているローブの色が夜闇のように黒い。

 ウィズと瓜二つの姿をした人物の前には、鏡のようなものが宙に浮いており颯人達の姿を映している。

 3人は暫しその光景を眺めていたが、颯人がテレポートで姿を消すとウィズ似の人物が手を軽く振った。すると鏡のようなものは空気に溶ける様に消え、最低限の照明しかない部屋は一気に暗さが増す。

 互いのシルエットしか見えないほどの薄暗さの室内。そんな中で、それまで椅子の近くで立っていた人物が右手を腰のバックルに翳した。

〈イルミネーション、ナーウ〉

 ウィズの物と同じ音声が響くと同時に室内の照明に明かりが灯り、一気に明るさが増す。

 室内が明るくなったところで、部屋に明かりを灯した人物が口を開いた。どこかアラビア風の衣服に身を包んだ、長い黒髪の美女と言って差し支えない人物だ。

「ウィザード…………もうこの日本まで来ていたとは」
「へっ! そりゃ来るだろうさ。あいつとウィズは俺達がよほど邪魔らしいからな」
「正確には、ウィズが我々を排除したいのだろうさ」

 美女の言葉に髭を生やした粗野な男が獰猛な笑みを浮かべながら答え、椅子に腰かけた人物──声からして男がそれに付け加える。

 椅子に腰かけていた男は立ち上がると、背を向けたまま背後の女性に指示を出した。

「まぁ、日本でも我々の邪魔をしてくるというのならそれでも構わん。邪魔立てするなら排除するまでよ。ヒュドラ、部下を招集しておけ」
「りょ〜かい」
「メデューサは引き続き例の奴の捜索を続けろ。日本に居る事は確実なのだ」
「畏まりました、ミスター・ワイズマン」

 ウィズと瓜二つの人物…………ワイズマンの言葉に、ヒュドラと呼ばれた男とメデューサと呼ばれた女は恭しく頭を下げ部屋を出ていった。

 2人が出ていくのを見て、1人部屋に残されたワイズマンは再び椅子に腰かけ軽く上げた右手を静かに下ろした。

 するとそれを合図に照明が一斉に消え、ワイズマンの姿は闇の中に消えていくのだった。
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