Precious Night
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、親のところから一回だけ逃げ出したときに見つけた景色だ。俺にはそれが家柄や血筋、金……それが何であっても変えがたいものに見えたよ」
白い息を吐きながら燐の独白は続く。詩乃は景色に目をやりながらも燐の言葉に耳を傾けた
「それでいつか俺が子供の家出みたいなちゃちなものじゃなくて本当に解放された時……その時は一番大切な人と、この景色をもう一度見ようって思ってたのさ」
「燐……」
詩乃が目の前の景色から目を離し燐を見る。その上気した頬の赤さは寒さのためか、恥ずかしさのためか……
「メリークリスマス、詩乃。俺にもう一度この景色をみせてくれて……一緒に見てくれてありがとうな」
「燐こそ。私にこんなにもすごいクリスマスプレゼントをありがとう。大好きだよ……ううん、愛してる」
最後の言葉を聞いた瞬間、少し赤かっただけの燐の頬が一気に赤くなる
「そ、それは不意打ちすぎないか?」
「私は狙撃手だって燐も知ってるでしょ?」
不意打ちを成功させた詩乃の頬も真っ赤になっている
当たり前だ。大好きまでは今までに何度も言っていても愛してるなんて初めて言ったのだから
「燐はどうなの?」
「……愛してるに決まってんだろ!」
もはやどちらも湯気の出そうなほど真っ赤だ
その時、その愛の誓いを祝福するかのごとく雪が降り始めた
「あ……雪……」
「ホワイトクリスマスか……」
東京のネオンサインの光を浴びてキラキラと幻想的な輝きを雪が放つ
「……来年もまたここで景色を見れるといいね」
「見れるさ。来年も……再来年も」
やがて互いに一歩歩み寄り目を閉じる。そして二人の影が重なった
この清き聖夜に……メリークリスマス
〜おまけ〜
「もしもし、アスナか?」
「え?あ、うん。キリト君、どうしたの?」
「いや、リンのやつがアスナに電話かけろって言うもんだから……」
意味を考えたものの全くわからなかったキリトは相変わらず怪訝そうな顔でアスナに電話をかけたのであった
対するアスナは満面の笑顔。その弾んだ声は例え電話ごしだろうと感情が伝わりそうなものだ
「ねぇ、キリト君。今日、今からどこか出かけない?」
「え?うーん……すまない。今からちょっと用事が……って痛い! スグ、足を踏まな……」
バタンバタンと電話から聞こえてくる格闘音に苦笑いを浮かべるアスナ
相変わらず仲のいい姉妹だ。……そんな微妙にはずれた考えに至ってしまうのはこちらもちょっと鈍感だからか
「もしもし、アスナさん?うちのバカお兄ちゃんは大丈夫です。別に用事なんてありません」
ほら、お兄ちゃんはさっさと駅に行って!
いや、だってコタツの魔力が……
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