Precious Night
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彼女ができたのが燐よりも早いのにも関わらず女心の機微に凄まじく疎いのはどうにかならないのだろうか?
相手のアスナが可哀想である
「……わかったな?」
「……了解」
まだ首を傾げているが、とりあえず燐の言うことだからと携帯に手を伸ばすキリト。コタツに潜りながらだが
「行ってらっしゃい、気をつけてね」
コタツの中から今度は妹の方が声を燐にかける
こちらは燐が今からなにをしに行くのかわかっていれのだろう。とても複雑そうな表情だ
自分の好きな人が別の異性とデートに行こうとしている。その人の幸せを願っている妹、直葉であってもそう簡単に割り切れることではないのだろう
「ごめんな、直葉」
「ううん、いいの。私はちゃんと気持ちを伝えられた。それが実らない恋だったとしても後悔はしてない。だから、今は純粋に燐の幸せを願ってるから。行ってあげて。詩乃さんのところへ」
先程までの複雑そうな顔は成りを潜め、吹っ切れた満面の笑顔を見せる直葉
でも……とそう続けた直葉の顔に黒いものが混じる
「詩乃さんを悲しませたりしたら……ね?」
「当たり前だろ?そんなことはしないって」
「うん、それならオッケー」
……扉を開けた瞬間、冬の夜の冷たい風が吹き込んできて首を竦める
「寒いな……」
空は星が見えないから、もしかしたら今夜は雪になるかも知れない……そんな期待を胸に燐は詩乃の家へとバイクを走らせた
居候させてもらっているキリトの家から詩乃の家までは結構遠い
バイクであっても結構時間がかかるため重装備であっても身体の芯から冷えきってしまうのはもはや必然と言えた
「悪い、待ったか?」
そんなことは奥微にも出さず詩乃にヘルメットを渡す
「ううん、大丈夫。私も今準備できたところだから」
「じゃあ、後ろに乗りな。行くぞ」
「うん」
詩乃がバイクに跨り、自分にしっかりと抱きついたのを確認すると燐はエンジンを再起動させる
「寒っ……」
「おいおい、ちゃんと着てこいって言っただろ?」
冬の夜の風は身を切るような寒さである。詩乃もかなりの重装備ではあるが、それでも多数の布を貫いた寒さに身を震わせる
「大丈夫。早く行こう?」
「後悔してもしらないぞ……」
若干あきれの混じる声で燐はつぶやくが、詩乃がなにも言わなくなったのでため息をつき、アクセルを踏んでバイクを走らせた
高速道路には乗らず、人気のあまりない道を走り続けること十数分。燐と詩乃は小高い丘の上にいた
「……綺麗……」
その丘から見えるのは無数の東京のネオンサインの輝き。一つ一つが宝石のような輝きを放ち、詩乃と燐はしばらくの間それを見入っていた
「この景色は子供の頃
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