その35
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無邪気なナルトに、サスケは含み笑った。
「付き合ってやる」
敢えて言葉を切り取り、告げる。
挑むような気持ちになりつつ、不敵に笑った。
「え!良いの!?」
サスケの言葉の裏も知らずに、ナルトは無邪気にサスケの助力の申し出を喜ぶ。
ナルトだって、忍の癖に。
そう、一生、ナルトに付き合うとサスケは決めた。
放っておくなど、危なっかしくて出来はしない。
それに、これは、母の遺志だ。
それに従うのも悪くはない。
母も、うちはであるのだから。
「口付ければ良いんだな」
「え!?」
喜色を滲ませたナルトに言うが早いか、ナルトを捕らえて唇を強引に奪ってやった。
少しはこれで、男というものを学ぶといい。
ナルトは決して馬鹿ではない。
サスケの行動からサスケの意を読み取り、暫く内省するだろう。
変わらなければ、それはそれだ。
次の案を試せば良いだけの話だ。
サスケの行動に驚き、ナルトがサスケを振り払おうと暴れ始める。
ナルトからの抵抗に、サスケは少し腹立たしくなっていく。
ナルトが自分から言い出した事なのに。
サスケが付き合ってやった途端に、抵抗するのはどういう事だ。
この程度の事で取り乱す覚悟で、あんな事を口にしていたのか!
苛立ちと腹立たしさを糧に、ナルトの抵抗を力に任せて封じ込んで、噛み付くように強く唇を押し付ける。
サスケに取っても、これは自分の意思で交わす初めての口付けだったが、感慨に耽る暇などなかった。
そんな事よりも、もう一度感じるナルトの唇の柔らかさの方に思考が逸れる。
以前、感じた時は、事故だった。
間違いなく偶然だった。
でも、今のこれは、もう、違う。
驚いて、抵抗しているナルトの頭を抱え込んで、動けないよう固定する。
自然と密着するお互いの身体に、自分との違いをはっきりと感じた。
容易く捕らえて、抑え込んでしまえる細い体。
なのに、温かくて甘い匂いの、ナルトの柔らかさに全身が高揚する。
サスケの気が口付けから逸れた隙を衝いて、ナルトがサスケを渾身の力で突き飛ばしてきた。
思い切り突き飛ばされたおかげで、ナルトを手放し、たたらを踏んでしまう。
思わずサスケはナルトに抗議した。
「何しやがる!」
「な、な、な、何するはこっちの台詞だよっ!サスケこそ、何するんだってばね!?」
食べ頃のトマトのように熟れた真っ赤な顔で、口元を押さえながらサスケに抗議するナルトは可愛らしかった。
混乱に、目を白黒させているナルトは、こういう口付けには慣れてないらしい。
それに、この様子だと、自分が際どい事を言ったりしたりするのは平気でも、誰かに『される』のは駄目なようだ。
そうして、ナルトはサスケを少し『男』と意識した。
思わずサスケの口元に笑みが浮かんでいく。
ナルトのこんな姿を見ながら、
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