その35
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人であるサスケも同様だ。
だからこそ、そこを補う為に、女で、幻術に適性があり、里にとって、替えの効く、対して後ろ楯の無い、比較的容姿の優れたサクラが、ナルトとサスケのマンセル仲間に選ばれた筈だ。
先にサスケに、このマンセル選抜の里の思惑を説いたのはナルトの癖に、何故こんなあからさまな物を見落としているのか。
大方、己の忍としての技能を向上させることばかりに意識が行き、適性についてをろくすっぽ考えては居ないのだろう。
ただ、それでも一つ、サスケにも分かる事がある。
忍として生きる為に、ナルトは火影の爺とですら、深い口付けを交わす覚悟を固めていると言う事だ。
それが、どんな事かも知らない癖に。
ナルトに対する心配と懸念がサスケに湧いた時だった。
きょとんとしたナルトが、あっけらかんと口を開いた。
「分かってるよ?でも、色仕掛けって、実践してみないと、ちゃんと効いてるのかどうか、良く分かんないし」
不思議そうに、さも当然の事のように言い出したナルトに、サスケに衝撃が走った。
もしかしたら、先程ナルトに纏い付いていた男も、それを確認する為の一員だったのかもしれない。
そう悟ったサスケに、戦慄が走る。
このままでは、ナルトはサスケの知らないうちに、どこの誰とどんな事をしだすのか、知れた物ではない。
そう結論した瞬間、サスケは荒れ狂う感情が爆発し、訳の分からない気持ちになった。
ナルトを閉じ込めてしまいたいような、ナルトが秘めて隠している物を全て暴き、ナルトの全て壊して、殺してやりたくなるような、酷く凶暴な気持ちだった。
男というものを、ナルトは軽く考え、侮り過ぎている!!!!
つくづくそう感じた。
どうせなら、下らないサスケへの悪戯の仕込みなどせずに、こちらの方をもっと良くナルトに仕込んでおいて欲しかった、と。
もう亡い母への恨み事がサスケに浮かぶ。
どちらにしても、ナルトは止まらない。
それが嫌というほど理解できた。
サスケがここで拒否をすれば、ナルトはサスケ以外の人間に話を持ち掛け、試すだろう。
何故ならこれは、忍として、くの一には必ず必要とされている技能だと、ナルトがそう思い込んでいるからだ!
そう結論したサスケの中に、どろどろとした強い気持ちが渦巻いていく。
強いそれに押し出されるように思うのは、そんな事は認められないと言う事だ。
ナルトの思い込みを正すのは容易ではない。
ならば。
気付けばサスケは、首を縦に振っていた。
「分かった」
「え?」
何を言われたか分からないと言わんばかりに、ナルトがきょとんとしながら首を傾げた。
咄嗟に承諾してしまったが、これはこれで悪くない。
サスケに取っては利しかない。
種を蒔いたのは、ナルトの方だ。
精々、利用させて貰おう。
無防備な幼い表情を曝している
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