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NARUTO 桃風伝小話集
その35
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トが、今は亡き母が誂えた、サスケに対するはた迷惑な愛情表現の賜物のように感じられ、サスケは内心戦慄を覚えた。
ナルトから距離を取り、無言でナルトを睨み続けるサスケの前で、ナルトの表情が困惑と混乱に歪んでいった。
ナルトの表情の変化に、サスケの胸に、サスケのせいではないとはいえ、ナルトを悲しませた事への罪悪感が浮かんだ。
何より、ナルトのこの様子では、ナルトもまたサスケの母の被害者と言えるだろう。
それを悟り、サスケは今日何度目かになるかも分からない深い溜め息を吐いた。
「…もしかして、サスケ、嫌だったの?」
不安そうに尋ねて来たナルトからは、強い困惑が滲んでいる。
母の言葉を信じきっていたことは難くない。
「い、嫌って、お前!自分が今、何をしたのか、分かってるのか!?」
サスケに対する問いかけに、衝撃も覚めやらぬまま、勢い込んでナルトに詰め寄ると、ナルトは困惑した表情のまま後退り、サスケの勢いに気圧されたまま、素直に全てを白状してきた。
「う、うん。ミコトさん、サスケは小さい頃から、ミコトさん達に抱き締められて、キスされるの大好きだったから、大きくなって、私の秘密をサスケが知っても、サスケが変わらないで私と仲良くしてくれてたら、私もいっぱいしてあげて、って…。喧嘩してても直ぐに仲直りできるからって…」
ナルトの口からポツポツと語られていく説明に、サスケは全身の力が抜け落ちるような虚脱感を感じ、がくり、と膝から崩れ落ちかけた。
危うい所でナルトの肩を支えに踏み止まったが、かつてナルトに変な事を吹き込んでおいた自分の母に怒るべきか。
それとも、母の言葉を真に受けて、律儀に今サスケに実行してきたナルトに腹を立てるべきか。
それすらも、もう、サスケには良く分からない。
「………それで。お前はそれを、何も変だとは思わなかったのか?」
身内の女二人の奇行に打ちのめされて、痛む頭を堪えつつ、それでもナルトを唆したサスケの母がもう亡い以上、母が原因のナルトの奇行を修正するのは、息子であるサスケの役目と、半ば以上、義務感のみでナルトを問い質す。
ナルトが逃げないように、しっかりと両肩を掴んで。
感情を押さえたサスケに、淡々と問われたナルトの目が、迷うように揺れた。
「う…」
その事に、サスケの胸に、ほっと安堵が広がっていく。
どうやら、母の吹き込んだ愚にもつかない与太話を、全部鵜呑みにしている訳では無さそうだ。
が、油断はできないのが、このうずまきナルトという人間だ。
刷り込みの成果か何かかは知らないが、ナルトはサスケの母を大変慕っていて、サスケの母が黒といったら、即座に黒と応じるような盲目的な所があるのだから。
それが何を目的としているのかあからさまな、面白半分のふざけた代物だろうとだ!!
その証明を今まさに目の前で示されて
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