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NARUTO 桃風伝小話集
その35
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う…」
言い終わりかけた頃には、サスケは自分の犯した失態に、穴があったら入りたくなっていた。
自分が何を口走っているのかも分からなければ、何でこんな事になってしまったのかも分からない。
ただ、ナルトのせいだということだけは、よくよく分かった。
ナルトが、自分を化け物だなどというから。
ナルトは、別に、化け物などではないのに。
むっすりと眉を顰めて黙り込みながら、釈然としない気持ちがサスケの胸に渦巻いていく。
ナルトのこれからの将来が、心底不安に思えた。
「本当?」
それでも、安堵したように表情を明るくしたナルトに、サスケは何も言えない。
それに、二度も変な事を口走るつもりもない。
ナルトから顔を背け、目を合わせる事を避ける。
けれど、付き合いの長いナルトは、それでサスケの言いたい事を察してしまうようだった。
「ありがとう、サスケ」
少し嬉しそうな、穏やかなナルトの声で、申し訳なさそうに、サスケに対する礼を紡がれる。
きっと、ナルトは、いつものように、穏やかな笑顔を浮かべているのだろう。
だが、今のサスケは、その笑顔を目にするつもりはなかった。
意図的にナルトを敢えて無視する。
実はナルトは、親しい人間に邪険にされる事を嫌っている。
隠していても、本当はナルトが寂しがり屋な事は、サスケにはもうバレバレだ。
それに気付いている人間は、限られているけれど。
だから、ナルトを無視するのは、サスケに望まぬ事を強いた罰のつもりだった。
のに。
「困らせちゃって、ごめんね?機嫌治して?」
そんな言葉と共に、音もなく距離を詰めたナルトが、サスケの左頬に、温かくて湿った感触の、何か柔らかい物を押し当ててきた。 
驚き、動転したサスケは、思わずナルトを突き飛ばした。
「な゛何するんだ!!」
ばくばくと痛い程サスケの胸が鳴っている。
今の感触は知っている。
だが、何故今、この流れでそれをした!!
ナルトに口付けられた箇所を左手で擦りながら睨み付ければ、ナルトが困惑したように、きょとんと小首を傾げていた。
そして、サスケは、目玉が飛び出るほど、心底驚く事になった。
「え。ミコトさんから教わった、サスケと仲直りできるおまじない?」
「はあっ!?」
おかしいな、と言わんばかりに首を傾げたナルトの、困惑仕切った言葉と表情に、サスケは絶句した。
それと同時に、鮮明に浮かび上がる記憶と共に、強く憤る。
母さん!
一体、ナルトに何を吹き込んだ!!!!
常々疑問に思っていた事だが、今日程強く感じた事はなかった。
サスケの母は、悪戯を好むような一面も少なからず存在していた。
幼い頃は、サスケもその餌食になった事もある。
忘れた頃にそれを思い出させられる事が多かったのだが、まさかこれもその一つか!!
目の前に居るナル
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