その35
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ナルトによって強制的に、自分の中の欲と理性を試されるような状況に追い込まれたサスケは、それでも自分が意外な程ナルトの温もりに不快感を感じていないのを見つけてしまっていた。
今まで里の女達にされても、温い人肌に嫌悪感と気色悪さしか浮かばず、うっとおしい迷惑な物にしか思えなかったのに。
今は違う。
確かに、困りはしているが、それでも嫌とは言い切れない。
自分の腕に感じる、ナルトの温もりと柔らかさが気になって仕方ない。
胸が高鳴り、体に熱が点っていく。
このままでいても良いような気になり、ナルトからいつも仄かに感じる甘くて優しい匂いが意識を擽る。
思い付いた案を実行してみてもいいんじゃないかという気がして来てしまう。
それは良くない。
確実にナルトが泣くだろう。
何より、ナルトに徹底的に嫌われる筈だ。
もしくは、変に覚悟を固めさせてしまうかだ。
ナルトは、基本的にとても素直だから。
それらのどれもこれもがサスケにとっては悪くは無いかもしれないが、それでもナルトから聞き知った女の人柱力の出産事情等を鑑みれば、やはりナルトには気軽に手を出すべきではない。
ナルトに手を出すのならば、ナルトの一切を引き受ける覚悟をを固めるべきだ。
里とナルトとの確執含めて。
だからこそ、そんな予感が、サスケの思い付きを実行する事を躊躇わせる。
サスケはナルトに、そうする資格はない。
サスケはうちはであり、復讐者であるからだ。
サスケはいずれ、決定的にナルトとは袂を別たねばならない。
ならば、今無理にそうする必要もない。
だからナルトと共に居れるのは、きっと今だけだ。
ならば。
こうできるのが今だけならば。
それならば、もう少しだけ、サスケはこうしていても良いのではないだろうか?
ぐるぐると、自身が在るべき姿と、サスケがこれから取るべき行動が、目まぐるしくサスケの頭を巡っていた時だった。
「じゃあ、僕の修行に付き合ってくれるくらい、別に良いでしょう?サスケ、修行は嫌い?」
ナルトが訊ねてきた事柄に、咄嗟に何も考えられず、サスケはナルトを振り払う動きを止めて、答えてしまった。
「修行は嫌いじゃないが…」
ただ、こういう方面の修行は気乗りしない。
いつもの手合わせ等ならば、別にいつでも構わないけれど。
そんなサスケの気持ちの乗る呟きに、ナルトは身を乗り出してサスケの顔を覗き込んできた。
「じゃあ、ヒナタみたいに私をぎゅってして?」
「断る!」
「じゃあ、私の修行に付き合ってよ!それなら良いでしょう?」
サスケの拒絶も物ともせず、至近距離で顔を覗き込んで来るナルトに、堪り兼ねたサスケはとうとう音を上げた。
「分かった!分かったから、離れろ!!」
その途端、まるで今まで纏わり付いていたのが嘘のように、ナルトはサスケをすんなり
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