第五十六話 卒業式の前その十二
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「凄くいいことよ」
「そうなるのかしら」
「お母さんはそう思うわ。それで卒業してもその子と一緒にいるのね」
「一緒にっていうか」
そう言われるとでした。
「あの子の方から来るから」
「だから違うのね」
「ええ、私大学に入ったら詰所に入らせてもらうけれど」
それでもです。
「あの子しょっちゅう詰所に来るから」
「じゃあそこで会うわね」
「そうなるわ。というか私から会いに行ったことないから」
このことは一度もありません。
「いつもね」
「あの子からなのね」
「会いに来るかばったりでね」
私から、ということはこれまで一度もありません。このことは阿波野君が入学してからずっとです。
「あの子からよ」
「それは完全にお引き寄せね」
お母さんは私の言葉を聞いて言いました。
「完全に」
「そうなのね」
「うちの教会に来た時も思ったけれど」
「あのことも不思議だったわ」
まさかあの子の親戚の人が神戸にいてその人に会いに来てなんてです。
「本当にね」
「そうよね、けれどね」
「そのこともお引き寄せで」
「そうよ、きっと千里はあの子と縁があるから」
だからだというのです。
「その縁大事にしてね」
「大事にすることなのね」
「絶対にね、卒業してからも同じ大教会だからお付き合いあるわね」
「そうよね。あの子は平野の方の子だけれど」
奥華の系列でそちらです、奥華は大きな大教会で二百七十以上の教会があって系列は大教会直属という意味で直属だけでも二十以上あります。
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