キミが産まれた日(雪音クリス誕生祭2019)
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とう!」
「この期に及んでプレゼントまであんのか!?」
「うん。やっぱり、渡しておきたくて……」
クリスは紙袋を受け取ると、ぎゅっと握り締める。
「あたしにとっては、今日という一日そのものが既にプレゼントみたいなもんだけど……。でも、ありがとな。開けてもいいか?」
「いいよ」
紙袋を開けると、そこに入っていたのは新品のマフラーであった。
「マフラー?でもこれ……長くないか?」
「うん。このマフラー、実は二人用なんだ」
「ッ!?それって……」
「そう。恋人マフラーって知ってるよね?二人で一枚のマフラーを共有するアレ。このマフラーは、その為のものなんだ」
「わっ!態々その為に用意したのか!?」
驚くクリスに、純は笑顔で頷く。
「そうすれば、クリスちゃんを最大限に温めてあげる事が出来るからね。それに、このマフラーは僕から君への誓いの印でもあるんだ」
「誓いの印って……」
「もう君を離さない。僕と君は切れない繋がりで結ばれているんだ……ってね」
「ッ!?///」
クリスの顔は、今日一番真っ赤に染った。
それも当然だ。臆面もなく言い切ったが、その言葉は……プロポーズも同然ではないか。
同時に、それはクリスが望んでいた言葉でもある。
同棲を始めた頃、何度も悪夢に魘されては、純に抱き締めてもらう事で確かめていた。
”あたしはもう、独りじゃない“と。
涙を必死に堪えようとして、両の瞳を潤ませながらも笑顔を向ける。
こんなに嬉しい誕生日、一生忘れてやるもんか。
「ジュンくん……ありがとう。あたし、今、世界で一番幸せだ」
「その言葉は、もっと先に取っておいた方がいいよ?」
「ああ、そうかもな……」
涙を拭い、クリスは純に抱き着く。
その胸に頬擦りすると、上目遣いに彼を見つめる。
「ジュンくん……これからも、あたしの王子様でいてくれるか?」
「そんなの、聞くまでもないだろう?クリスちゃんを世界で一番幸せにする。それが僕の夢なんだから」
「ん……。なら、あたしも……ジュンくんの事、幸せにする。ジュンくんから貰った幸せと同じ分だけ……いや、それ以上を返せるお姫様になる」
「うん。クリスちゃんからのお返し、楽しみにしてるよ」
クリスと純は、互いにじっと見つめ合い、微笑み合う。
心と心で深く繋がっている二人を、妨げられるものなど存在しない。
この先の未来も、二人で手を取り合い、支えあって進んでいく。
そんな二人を、部屋の隅に置かれた仏壇に立てられた夫婦の写真は、柔らかな微笑みを向けながら見つめていた。
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