キミが産まれた日(雪音クリス誕生祭2019)
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をポカンと空けた、驚いたような表情でこちらを見つめていた。
何秒して、純はクスッと笑う。
「……ふふっ、そっか。クリスちゃんにとって、僕の料理はそんなに美味しいんだね」
「え、や、その……」
「心配しなくても、ここの店の味をそのまま再現しようってわけじゃないよ。ちょっとレパートリーを増やす参考にするだけさ。僕の味付けは、僕だけのもの……クリスちゃんにとっての世界一なんだからね」
「ッ!?……さっ……サラッと付け足すなよ……恥ずかしいじゃねぇか……」
頬を赤らめながらそっぽを向くクリスを、純は微笑みながら見つめる。
ああ、なんて可愛らしいんだろう。
素直じゃないけど。喋り方もぶっきらぼうだけど。
それでも一途で、優しくて、誰かを思いやれる。
そんな君はやっぱり、僕にとってのお姫様だよ。
……そんな微笑ましい二人を、向かいのテーブルに座るドレス姿の美女が見つめる。
胸元を飾るマーガレットのブローチに仕込んだ隠しカメラで二人の様子を撮影しながら、彼女はグラスをくゆらせた。
「爽々波の王子様と、雪の音のお姫様。二人の祝福されし道行に乾杯……なんてね」
見守り隊職員、二人にこの店を勧めた張本人である尾灯春菊はそう呟くと、一人、グラスを傾けるのだった。
夕食を終え、帰路に着く二人。
タクシーを降りてから、クリスは純に手を引かれながら、今日という一日を振り返っていた。
(楽しかったな。ジュンくんと二人っきりで、色んな事して……。何だろうな、忘れていたものを思い出せたような……とても懐かしい気分だ……)
両親を亡くし、自由を奪われ、捕らわれてから何日経ったか分からなくなって……。
以来、色んなものを忘れてしまっていた。
繋ぐ手の温かさ、心安らぐ場所。いつしか自分の産まれた日さえも……。
でも今年、色んな人達との出会いを経て、そして純との再会が切っ掛けになり、それらを思い出す事が出来た。
そして今日は大好きな人から、自分が産まれた日を精一杯、心ゆくまで祝ってもらった。
こんなに幸せな事があるだろうか?
(また、沢山貰っちまったな……)
貰った幸せの分だけ、自分も周りに感謝を返して行こう。
そして、自分も誰かに幸せをあげられる人間になろう。
クリスは心の中で、固く誓うのだった。
「う〜、寒ッ!」
「正装の上から着込んでても寒かったね……。お風呂沸かさないと……」
自宅に着くと、二人は早速風呂に入る。
互いの身体を洗いあい、冷えた身体を温めると、厚手のパジャマに身を包んで髪を乾かす。
風呂から出ると、純は自室に置いていた紙袋を持って、クリスの前に立った。
「改めて、クリスちゃん。誕生日おめで
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