キミが産まれた日(雪音クリス誕生祭2019)
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もう、すっかり見慣れてしまったベッドで目を覚ます。
時刻は朝の7時半、とっくに起床時間だ。
クリスは欠伸をひとつして、身体を起こすと部屋を見回す。
いつもなら起こしてくれる筈の彼の姿を探し、ゆっくりとベッドを降りた。
「ジュンくん……?」
寝室のドアを開けると、聞こえて来たのはチン!というトースターの音。
鼻腔を擽る香りに導かれ、クリスはリビングへと足を運ぶ。
「──はい、はい。ありがとうございます……。これでよし、と」
「ん……ジュンくん……」
「ああ、クリスちゃん。おはよう」
何処かへと電話を入れていた恋人は、こちらを振り向くと、いつも通り爽やかに微笑んだ。
「おはよ……」
寝ぼけ眼で彼女は、ゆっくりと純に近付き、その背中に両腕を回した。
同棲し始めて以来、日課とかしている朝のハグ。純もスマホを仕舞うと彼女の背中に腕を回して抱き寄せ、その銀色の髪を優しく撫でる。
「今日くらいはと思って、起こさなかったんだけど……ゆっくり眠れた?」
「今日、くらいは……?」
不思議そうに首を傾げるクリス。
その反応に、純はハッとなる。
「そっか……。じゃあ、今で言ってあげないとね」
そのまま隠して、サプライズにする事も出来たのだろう。
しかし、純は敢えてその選択肢を捨てる事にした。
今朝から始まるのは特別な一日だと、自覚してもらいたかったからだ。
今日という日が何の日か、二度と彼女に忘れさせない為にも……。
「ハッピーバースデー。お誕生日おめでとう、クリスちゃん」
「え……?……あ……」
寝惚けていた意識が一気に覚醒し、クリスの顔に驚きが広がる。
「今日は12月28日、クリスちゃんの誕生日だよ。思い出してくれた?」
「そうだ……今日、あたしの誕生日なんだ……」
思い出した瞬間、彼女の瞳が潤む。
純はより一層、深く彼女を抱き締めると、そっと、耳元で優しく囁いた。
「泣くにはまだ、早過ぎるよ。ほら、朝ご飯冷めちゃうし、顔洗って来たら?」
「なっ、泣いてねぇよ……ッ……。泣いてねぇ……こんな朝っぱらから泣くやつがいるかってんだ……」
「そっか……。クリスちゃん」
顔を上げ、こちらを見上げてくる彼女を真っ直ぐに見つめて、純は微笑む。
「今日は特別な一日になる。約束するよ」
「……うん。……楽しみにしとく……」
こうしてクリスの誕生日が、幕を開けた。
「イィィィィィィィヤッフゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウ!!」
クリスの楽しげな叫び声が、晴天の空に広がる。
やって来たのは遊園地。乗っているのは絶叫マシーン代表、ジェットコースターだ。
「いや楽しいなこれ!!」
「お気に召
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