ボス攻略(4)
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スナの瞳には全幅の信頼がある。それに応えるべく、剣を握りなおす。
「よし……行け!」
俺は自分を叱咤しつつ、フロアボスに向けて全速力ではじりはじめた。
ウェンディゴはさきほどアスナを追い立てた壁際で盾役の連中を攻撃している。例のデバフ満載の炎に捕まるとそもそも作戦自体がファンブルしそうだったので、ボスを中心に円形に広がるはずの攻撃範囲内に入らないようにしながら走る。
あいつなにしてんだろ的な視線を背中にびしびし感じつつ、俺は全力で疾走し――。
リズと一緒に落っこちたドラゴン山の斜面を今度こそ登り切ろうと取っていた《壁走り》スキルが意外なところで役に立ちそうだだった。できうる限りの助走をしたあと、俺は壁に向かって脚をかけた。
足裏が壁に吸着する。大昔、まだ小学校低学年の時にさんざんやった、ザ・ニンジャ走りでいっきに壁を駆け上がる。
徐々に歪曲する天井に足裏を吸着させつつ、俺はウェンディゴのクリティカルポイントを睨み続けた。やがてダッシュスピードとウォール・ランの補正が限界に達し、足裏の吸着が弱まる。
その時点で、俺はウェンディゴの真上……にはわずかに届かない位置にいた。壁を蹴って肉薄する必要がある。もう少しウェンディゴとの距離が近ければ、連撃系のソードスキルを使用していたが、ややリーチが心配だった。
「はっ――!」
一度強く曲げた膝を引き延ばし、燃えるような一本角めがけて飛んだ。
歪曲している壁を蹴ったので、俺の身体はほぼ百八十度、天地を逆さまにしていたが、慣れ親しんだソードスキルの初動モーションを呼び起こすには、何の影響もない。右腕を担ぐように引きつけ、左腕を前に突き出す。
が、ソードスキルの発動でゆるやかに流れ出した時間のなか、イレギュラーな形で反応圏に侵入した俺にウェンディゴがじろり、燃える瞳を向けた。
「う――っ!?」
視線の圧力におもわずうめく。ウェンディゴが足下の壁役に向けていた増悪値を無視し、両手昆をもちあげた。
通常攻撃ではない。両手昆カテゴリに設定された、ソードスキルのモーションを感知しそれを阻害するカウンター・ソードスキルだ。
これを貰ってしまうと、現在発動中のソードスキルをキャンセルされてしまうだけでなく、わりとしゃれにならないダメージをもらってしまう。
が、壁走りからの奇襲は、明らかにウェンディゴの反応を鈍らせている。そのわずかな反応の鈍りがソードスキルを先当てできる可能性を生んでいた。そもそも発動したソードスキルを止めることなどできない。
今の俺にできるのは――。
「うおおおおおおおおっ!」
此彼の関係上、真下から頭に迫ってくる両手昆から意識をそらし、半自動で突き動かされる腕に喝をいれた。システムアシストで操縦され
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